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2次試験対策 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

事例IV対策の全体像|36点から69点に上げた手順と教材の順番

1年目の2次試験で事例IVは36点でした。2次試験は事例IVも含めた4事例合計で合否が決まりますが、1科目でも40点未満があると他がどれだけ高得点でも不合格になる基準があり、36点はまさにその基準に引っかかる点数でした。2年目に69点まで引き上げ、3年目は59点で合格ラインに乗せています。36点から69点に上がった過程で何を変えたのかを、実際に使った教材と手順で振り返ります。

事例IVの全知識&全ノウハウ 2026年改訂版の書誌情報ページ
事例IV対策の軸になる『事例IVの全知識&全ノウハウ』。過去問を論点別に組み替えており、横解きの教材としてそのまま使える出典: 同友館オンライン(2026年7月26日取得)

事例IVという科目の性質

事例IVは経営分析、損益分岐点分析(CVP)、意思決定会計(NPVなど)、キャッシュフロー計算といった単元で構成され、他の3事例と違って計算過程に明確な正解・不正解が存在します。記述式の事例I・II・IIIが部分点の積み上げで得点が決まるのに対し、事例IVは電卓を叩いた先に数字という結果が出るため、知識と手順が身についているかどうかがそのまま点数に直結します。裏を返せば、正しい手順さえ身についていれば得点が安定しやすい科目でもあり、1年目の36点は知識と手順のどちらも定着していなかったことの結果でした。

1年目、なぜ36点だったのか

1年目はふぞろいと過去問だけで2次試験全体に挑んでおり、事例IVについても特別な教材を使わず、過去問を解いては答え合わせをする、という進め方をしていました。この進め方の問題は、経営分析の指標選定や意思決定会計の場合分けといった、事例IV特有の「型」を体系的に学ばないまま、いきなり過去問という応用問題に取り組んでしまっていたことです。

型を知らないまま解くと、部分的に合っている計算はあっても、途中の場合分けを丸ごと落としたり、計算の前提条件を読み違えたりする形で失点が積み重なり、結果として36点という足切りラインの点数になりました。

2年目、TACで学んだ「捨てる問題を見極める」という発想

2年目に事例IVの得点を大きく引き上げられた最大の要因は、TACの教材と講座を通じて「解くべき問題と捨てる問題を見極める」という戦略を学んだことです。2次試験は受験者間の相対評価であり、正答率が極端に低い難問を落としても、他の受験生の多くも同様に落としているため差はつきません。反対に、多くの受験生が正解している標準的な設問を自分だけ落とすと、そこで致命的な差がついてしまいます

事例IVの試験時間は80分と限られており、すべての設問に同じ熱量で向き合うのではなく、経営分析や基本的なCVP計算など「取り切るべき問題」に確実に時間と精度を配分し、複雑な場合分けが絡む難問は部分点だけ拾って早めに見切りをつけるという時間配分の発想に切り替えたことが、69点という結果につながりました。

年度 事例IVの得点 状態 主な変化
令和4年度(1年目) 36点 足切り 型を学ばないまま過去問演習だけを実施
令和5年度(2年目) 69点 大幅改善 TACで「解く・捨てるの見極め」を習得
令和6年度(3年目) 59点 合格年度 知識を増やさず過去問演習に集中

3年目に事例IVの点数がやや下がって59点になっていますが、これは知識量が後退したからではなく、3年目は事例IIIの立て直しに比重を置いたことと、その年の事例IVの難易度自体が変動した可能性を踏まえると、59点という結果自体は合格基準に対して十分な水準です。事例IVは満点を狙う科目ではなく、基準点を安定して超えることを目標に据える方が、他の3事例とのバランスも取りやすくなります。

「取捨選択」を80分の中でどう実行するか

取捨選択という考え方は言葉にすると単純ですが、実際の80分の中で実行するのは簡単ではありません。試験開始直後にまず設問全体にざっと目を通し、経営分析のように配点が固定的で得点源になりやすい設問、CVP分析のように標準的な計算パターンであれば確実に得点できる設問を先に見極め、そこに解答時間の大半を割り当てます。逆に、複数の場合分けが絡み、問題文を読んだ瞬間に処理に時間がかかると分かる設問は、部分点が取れそうな途中の式や考え方だけを書いて早めに次の設問へ移る、という判断を試験時間内で下し続けることになります。

1年目はこの判断基準を持たないまま、難しい設問にも簡単な設問にも同じ熱量で向き合っていたため、時間が足りなくなり、本来なら確実に取れたはずの設問まで手が回らなくなっていました。2年目以降は、設問を開いた最初の数十秒で「これは取りに行く設問か、部分点だけ狙う設問か」を判断する練習を過去問演習の中で繰り返し、この判断にかかる時間そのものを短縮していきました。

2年目に使った教材とその役割分担

2年目に事例IVの対策で使ったのは、TACの「事例IVの解き方」、「事例IVの全知識&全ノウハウ」、TACの過去問題集の3種類です。それぞれ役割が異なり、「事例IVの解き方」はテーマ別に基礎問題・応用問題・過去問を並べたトレーニング問題集で、経営分析やCVP、意思決定会計といった単元ごとに手順を体に覚え込ませる位置づけで使いました。

「事例IVの全知識&全ノウハウ」は過去問を主要テーマ別に編集し直した参考書で、どの論点がどれくらいの頻度で出題されているかを俯瞰し、優先して押さえるべき単元を把握するために使いました。TACの過去問題集は年度別の本試験そのものを収録しており、単元別の演習で身につけた手順を、実際の80分という制約と設問構成の中で発揮できるかを確認する段階で使っています。単元別演習から年度別演習へという順番を踏んだことが、知識の定着と本番対応力の両方を底上げしたと感じています。

ただ、「事例IVの全知識&全ノウハウ」も「事例IVの解き方」も、あくまで知識と解法を身につけるための書籍であり、80分の中でどの問題を解き、どの問題を捨てるかという時間配分の判断そのものは、書籍を読んでいるだけでは身につきませんでした。この判断軸は、TACの講座で講師の生の解説を聞いたことで初めて言語化できたもので、書籍だけで独学を完結させようとしていたら、69点まで伸びることはなかったと思います。

それぞれの教材の詳しい評価はTAC「事例IVの解き方」レビューの記事事例IVの全知識&全ノウハウレビューの記事にまとめています。

3年目、教材を増やさず過去問に絞った理由

3年目は新しい教材を追加せず、2年目までに使った教材の過去問演習を繰り返すことに絞りました。事例IVは一度型が身につくと、あとは時間内に手順を再現できるかどうかの精度の勝負になるため、新しい教材で知識の幅を広げるよりも、既存の教材の精度を上げる方が費用対効果が高いと判断したためです。この判断は事例IIIの立て直しにも共通していて、3年目全体を通じて教材を増やさず過去問と合格答案の読み比べに時間を使うという方針を貫いています。この方針の詳細は2次試験は独学で受かるかの記事でも触れています。

相対評価という前提が対策方針を変える

事例IVの対策を考えるとき、絶対的な満点を目指す発想と、相対評価の中で基準点を超える発想とでは、時間の使い方がまったく変わってきます。満点を目指す発想であれば難問にも時間をかけて向き合う必要がありますが、実際の2次試験は受験者間の相対評価であり、正答率が低い難問は多くの受験生も落としているため、そこで差はつきません。差がつくのは、多くの受験生が正解している標準的な設問を自分だけ落としてしまう場面です。

この前提に立つと、事例IVの対策で優先すべきは難問への対応力を磨くことではなく、標準的な設問を確実に取り切る精度を上げることだと分かります。1年目の36点は、この前提を理解しないまま、どの設問にも同じように向き合おうとして時間が足りなくなった結果でもありました。

事例IVの対策を組み立てる際の順番

これから事例IVの対策を組み立てるのであれば、いきなり過去問を解き始めるのではなく、まず単元別の教材で経営分析・CVP・意思決定会計それぞれの解き方の型を身につけ、その後に年度別の過去問で時間配分と取捨選択の感覚を養う、という順番を踏むことをおすすめします。1年目に36点だった最大の原因は、この順番を踏まずにいきなり過去問という応用に取り組んでしまったことにあります。2次試験対策全体の進め方は2次試験対策のページ、診断士講座や教材同士の比較は比較ページ、自分に合った学習方法の相談は無料相談ページから確認できます。

書籍だけでは身につかないもの

事例IVの対策で見落とされがちなのが、80分という制限時間の中で「どの問題を解き、どの問題を捨てるか」を判断する力です。市販の問題集は分野ごとに整理されているため、腰を据えて取り組めば解けるようになります。しかし本番では、初見の問題を前にして数十秒で取捨選択を決めなければなりません

私が1年目に36点を取ったのは、まさにこの判断ができなかったからです。難易度の高い設問に時間を吸い取られ、確実に取れるはずの経営分析まで雑になりました。2年目にTACへ通って最も価値があったのは、計算の解き方そのものより、この時間配分と取捨選択の考え方を教わったことでした。

独学で進める場合も、この観点は意識して補う必要があります。過去問を解くときに時間を計り、「今回はどの設問を捨てたか」「その判断は正しかったか」を毎回記録するだけでも、判断の精度は上がります