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講座比較 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

中小企業診断士とITストラテジスト|保有率16.0%で2位、科目免除も使える

中小企業診断士とITストラテジスト|保有率16.0%で2位、科目免除も使える

結論:情報処理技術者は保有率16.0%で2位。しかも科目免除が使える唯一の実利ルートです

中小企業診断士とITストラテジストの組み合わせは、ダブルライセンスの中でも特殊な位置にあります。診断士試験の科目免除が正面から使えるからです

まず保有実態を見ます。協会連合会のアンケート調査(令和8年5月公表・回答1,847名)の結果です。

順位 保有資格 回答数 保有率
なし 437名 23.7%
1位 ファイナンシャルプランナー 379名 20.5%
2位 情報処理技術者 295名 16.0%
3位 宅地建物取引士 203名 11.0%
4位 MBA 190名 10.3%
5位 ITコーディネータ 140名 7.6%
行政書士 119名 6.4%
社会保険労務士 113名 6.1%
税理士 24名 1.3%

情報処理技術者が16.0%で2位。ITコーディネータ7.6%を足せば、IT系資格の保有者は相当な厚みがあります。士業系の行政書士6.4%・社労士6.1%・税理士1.3%と比べると、その差は明確です。

私はIT系の資格を持っていません。この記事は制度と公表データの整理であり、ITストラテジスト試験の受験体験ではない点を先に断っておきます。

実利①:経営情報システムが免除になる

中小企業診断士1次試験の他資格等保有による科目免除対象者一覧(令和8年度試験案内)
公式の免除対象一覧。経営情報システムの欄にITストラテジスト・応用情報技術者等が並ぶ一方、基本情報技術者は含まれていない
出典: 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度中小企業診断士第1次試験案内」

診断士1次試験の科目免除で、情報処理技術者試験の合格者は「経営情報システム」が免除されます。令和8年度試験案内に明記された対象区分は次のとおりです。

免除科目 対象となる情報処理技術者試験の区分
経営情報システム ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種
経営情報システム 技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者

ここで最も誤解が多い点を書きます。基本情報技術者は対象に含まれていません。応用情報技術者からが対象です。ITパスポートも当然対象外です。

ただし「免除すべきか」は別問題です

免除できることと、免除すべきことは違います。科目免除で書いたとおり、免除された科目は合否判定の対象外になるため、残った科目で60%を取る必要が生じます

私の3年目の模試を見てください。

科目 得点 60点との差
企業経営理論 82点 +22
経営情報システム 72点 +12
運営管理 70点 +10
財務・会計 68点 +8
経営法務 68点 +8
経済学・経済政策 64点 +4
中小企業経営・政策 63点 +3
合計 487点 合格ライン420点に対し+67

経営情報システムは、私にとって12点の貯金を生む科目でした。IT実務経験者なら、この科目は40時間程度で70〜80点が見込めます。それを免除するのは、稼げる科目を自分から捨てる行為です。

状況 判断 理由
ITストラテジスト等を保有し、学習時間に余裕がある 受験する 40時間で70〜80点。総得点の貯金になる
高度区分を保有し、財務・会計が壊滅的に苦手 免除も可 浮く時間を財務に全投入したほうが総合点は伸びる
2年目以降で、他6科目のうち3科目以上が仕上がっていない 免除する 可処分時間を残り科目に集中させる
資格取得から年数が経ち、知識が古い 状況次第 クラウド・生成AI等の新論点は追加学習が必要

実利②:試験範囲が実際に重なる

免除制度が存在するのは、出題範囲が実質的に重複しているからです。

領域 診断士「経営情報システム」 ITストラテジスト
経営戦略とITの連携 情報化戦略、IT投資評価 試験の中核
システム開発 開発手法、プロジェクト管理 重なる
情報セキュリティ 脅威と対策、関連法規 重なる
ハードウェア・ネットワーク 基礎知識を問う 前提知識として扱う
統計解析 出題あり ほぼなし

逆方向の相性も良好です。ITストラテジストは「経営戦略に基づいてIT戦略を立案する」立場を問う試験で、診断士の1次で学ぶ経営戦略・組織論の知識がそのまま論述の土台になります。企業経営理論で扱う競争戦略やドメインの考え方は、IT戦略の記述でも使えます。

取得順序:どちらを先にすべきか

現在の立場 推奨 理由
SE・情報システム部門などIT実務者 IT系が先 実務の延長で取りやすい。診断士の経営情報システムが得点源になる
すでに応用情報以上を保有 診断士へ 免除を使うか貯金にするかを選べる有利な位置
非IT職で、IT分野が苦手 診断士が先 経営情報システムは暗記8割・80時間で60点に届く。無理にIT資格を挟む必要はない
ITコンサルとして独立したい 両方 技術の裏づけと経営の言語の両方が要る

3行目を強調しておきます。非IT職の人が、診断士のためにITストラテジストを取る必要はありません。診断士の経営情報システムは暗記8割の科目で、IT未経験でも80〜90時間で60点に届きます。ITストラテジストは応用情報を経由する必要があり、投資対効果が合いません

実務での組み合わせ:どこで効くか

中小企業支援の現場で、IT系のダブルライセンスが効く場面は限定的ですが明確です。

場面 効き方
IT導入補助金・DX関連の支援 公募要領の要件を技術面から読み解ける。診断士の仕事で書いたとおり補助金支援は主要な収入源
基幹システム刷新の相談 ベンダーの提案を経営側の立場で評価できる
公的機関の専門家登録 IT分野の専門家枠で登録できる可能性がある
企業内での配置 情報システム部門と経営企画の橋渡し役として説明しやすい

ただし注意点があります。診断士には独占業務がありません。ITストラテジストにも業務独占はなく、どちらも名称・称号としての性格が強い資格です。税理士との比較で分解したとおり、独占業務のある士業とは収益モデルが根本的に違います。2つ持っていても、仕事が自動的に来る構造にはなりません

ITコーディネータという選択肢

保有率5位のITコーディネータ(7.6%・140名)にも触れておきます。この資格は「経営とITの橋渡し」を明示的に掲げた民間資格で、診断士との親和性が高い。

情報処理技術者試験のような国家試験ではなく、研修受講とケース研修が中心の設計です。診断士の経営情報システムの免除対象にはなりませんが、実務のネットワークという点では別の価値があります。

まとめ

論点 結論
保有実態 情報処理技術者16.0%で2位。IT系は診断士と相性が良い
制度上の実利 ITストラテジスト等の合格者は経営情報システムが免除される
対象外 基本情報技術者は対象外。応用情報技術者から
免除すべきか IT実務者なら受験推奨。40時間で70〜80点の貯金になる
取得順序 IT実務者はIT系が先。非IT職は診断士だけで十分
限界 どちらも独占業務なし。2つ持っても仕事は自動では来ない

この組み合わせの本当の価値は、資格の数ではなく「技術の実装可能性を踏まえて経営を語れること」にあります。中小企業のDX相談で、実現できない提案をしない——それだけで十分な差別化です。

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出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」(令和8年5月公表・回答1,847名)、同「令和8年度中小企業診断士第1次試験案内」(他資格等保有による科目免除対象者)。運営者はIT系資格を保有していないため、本記事は制度と公表データの整理であり、情報処理技術者試験の受験体験は含みません。