結論:1年合格は可能ですが、確率は約4.2%です
先に数字を置きます。令和7年度の実績で1次合格率23.7%、2次合格率17.6%。単純に掛ければ約4.2%が、いわゆるストレート合格率です。
この記事は「1年で受かる方法」を約束するものではありません。1年で仕留めにいく場合の設計と、その設計が崩れたときにどう2年目へ繋ぐかを書きます。私自身は3年かかりました(213点→226点→244点)。1年計画が崩れた側の視点も込みで書けるのが、この記事の立ち位置です。
大前提:8月1次と10月2次の間は2か月しかない
1年計画の最大の制約はここです。令和8年度の日程を置きます。
| 時期 | できごと | 残り期間 |
|---|---|---|
| 4月23日〜5月27日 | 1次試験の申込受付(Webのみ) | — |
| 8月1日(土)・2日(日) | 1次試験(7科目) | — |
| 9月1日(火) | 1次試験の合格発表 | 2次まで54日 |
| 10月25日(日) | 2次筆記試験 | — |
| 翌年1月頃 | 筆記合格発表=最終合格 | 令和8年度から口述廃止 |
1次合格発表から2次まで54日。ここから2次対策を始めるのでは間に合いません。1年計画の成否は、1次の学習期間中に2次の準備をどれだけ仕込めたかで決まります。
12か月の全体設計
8月試験から逆算した、前年9月スタートの想定です。総学習時間は1,000時間を目安にします。
| 時期 | 月数 | 主に何をやるか | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| 9〜11月 | 3か月 | 財務・会計を最優先で立ち上げる。あわせて企業経営理論 | 240時間 |
| 12〜2月 | 3か月 | 運営管理・経済学。財務は毎日30分を継続 | 240時間 |
| 3〜4月 | 2か月 | 2次の事例を月2本だけ解き始める。1次は過去問演習へ | 160時間 |
| 5〜7月 | 3か月 | 暗記3科目(法務・情報・中小)に集中。7月上旬に模試 | 280時間 |
| 8月1〜2日 | — | 1次試験 | — |
| 8〜10月 | 2.7か月 | 2次に全振り。過去問5年分を複数周 | 200時間 |
合計1,120時間。勉強時間の相場で試算した1次800時間・2次200時間規模と整合します。平日2時間・休日4時間で、週18時間。年間で約940時間ですから、これでもやや足りません。ここが1年計画の厳しさです。
1年計画の生命線:3〜4月に2次を触る
この設計で最も重要なのが、3〜4月の段階で2次の事例を月2本だけ解き始めることです。
理由は3つあります。
第一に、2次の形式に慣れるのに時間がかかります。80分で与件文を読み、設問を解釈し、100字前後の記述を4〜5問書く——この一連の動作は、1次のマークシートとまったく別の技能です。80分の時間配分は、経験の絶対量でしか身につきません。
第二に、1次の学習の意味が変わります。事例I・IIは企業経営理論、事例IIIは運営管理、事例IVは財務・会計の応用です。2次を先に見ておくと、1次の知識を「使える形」で覚えるようになります。企業経営理論の用語を、定義ではなく20〜30字の説明で覚えるべき理由がこれです。
第三に、8月以降の54日が「思い出す期間」になります。ゼロから始めるのではなく、3〜4月に触れた感覚を戻すだけで済みます。
私の1年目の失敗はまさにここでした。1次の延長線上で「知識を思い出す勉強」を続け、与件文を読んで文章で答える訓練にほとんど時間を割けていなかった。結果が213点、事例IV 36点です。
科目の着手順序は動かせない
12か月の設計で最初に財務・会計を置いているのは、この科目だけは順序を動かせないからです。
| 科目 | 着手時期 | 理由 |
|---|---|---|
| 財務・会計 | 9月(最初) | 積み上げ型。毎日触れないと落ちる。2次の事例IVと同一論点 |
| 企業経営理論 | 9〜11月 | 2次の事例I・IIの土台。早く入れるほど2次の助走が伸びる |
| 運営管理 | 12〜2月 | 範囲が広い。事例IIIにも接続 |
| 経済学・経済政策 | 1〜2月 | 抽象度が高い。60点台で十分と割り切る |
| 経営法務 | 5〜7月 | 暗記。早くやると忘れる |
| 経営情報システム | 5〜7月 | 暗記8割 |
| 中小企業経営・政策 | 6〜7月 | 最後。白書が毎年変わる |
詳しくは科目別の勉強順序にまとめています。この順序を守らないと、暗記科目を早く仕上げても8月に残らないという事故が起きます。
7月上旬の模試を「判断材料」にする

出典: 運営者提供(氏名・受験番号等はマスキング済み)
1年計画で唯一の客観的な中間指標が模試です。7月上旬に1回だけ受けるのを推奨します。
私の3年目の模試結果です。
| 科目 | 得点 | そのときの状態 |
|---|---|---|
| 企業経営理論 | 82点 | 2次対策で毎日触れていた |
| 経営情報システム | 72点 | 動画1周済み |
| 運営管理 | 70点 | 過去問3周 |
| 財務・会計 | 68点 | 事例IVと共通で毎日 |
| 経営法務 | 68点 | 暗記中心で仕上げ済み |
| 経済学・経済政策 | 64点 | グラフ問題を落とした |
| 中小企業経営・政策 | 63点 | 白書を後回しにしていた |
| 合計 | 487点 | 合格ライン420点に対し+67点 |
模試の使い道は、残り3週間をどの科目に配分するかを決めることだけです。私はこの結果を見て、中小企業経営・政策に週7時間・合計21時間を追加投入しました。模試を2回以上受けるのは時間の浪費です。7科目で5時間半、復習に3倍の時間がかかります。
1年計画が崩れたときの分岐
ここが本題です。4.2%という数字は、大半の人が崩れることを意味します。崩れ方によって、2年目の設計はまったく違います。
| 崩れ方 | 2年目の設計 |
|---|---|
| 1次不合格・科目合格あり | 合格科目を免除申請し、残りに集中。科目免除参照。ただし得意科目はあえて受け直して貯金を作る選択もある |
| 1次合格・2次不合格 | 1次免除の効力が翌年まで有効。2年目は2次に専念できる。最も有利な位置 |
| 1次合格・2次を2年連続で不合格 | 1次から受け直し。ここが最も重い。養成課程を検討すべき分岐点 |
| 1次不合格・科目合格もなし | 着手順序を見直す。財務・会計を後回しにしていなかったか |
2行目が私の1年目でした。1次に受かり、2次で213点。この位置なら、2年目は2次だけに1年を使えます。ただし私はそれでも226点で落ちました。落ちる人の共通点に書いたとおり、足切りゼロでも240点に届かないという壁があります。
正直に書く:1年で狙うべき人・狙うべきでない人
| 条件 | 判断 |
|---|---|
| 週18時間以上を1年間確保できる | 狙う価値がある |
| 財務・会計または簿記の下地がある | 狙う価値がある。最も時間を食う科目が短縮できる |
| 3〜4月に2次の事例を触る余裕がある | 狙う価値がある |
| 週10時間程度しか取れない | 2年計画にすべき。1年で全科目は仕上がらない |
| 簿記の学習経験がまったくない | 財務・会計に150時間以上を見込む。1年は厳しい |
| 繁忙期が5〜7月にある | 暗記3科目の仕上げ期と重なる。年度をずらすか2年計画に |
下3行に当てはまるなら、最初から科目合格制度を使った2年計画で組むほうが合理的です。令和7年度の科目合格者は13,146人で1次合格者の3倍を超えており、複数年で積み上げる受け方が主流になりつつあります。
まとめ
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| ストレート合格率 | 約4.2%。大半の人は複数年かかる |
| 総学習時間 | 1,000時間規模。平日2時間・休日4時間で年940時間 |
| 生命線 | 3〜4月に2次の事例を月2本だけ解き始める |
| 着手順序 | 財務・会計が最初、中小企業経営・政策が最後 |
| 模試 | 7月上旬に1回だけ。残り3週間の配分を決めるために使う |
| 崩れたとき | 1次合格・2次不合格なら2年目は2次専念で最も有利 |
1年計画で最も重要なのは、「1次に受かること」ではなく「1次の期間中に2次の助走をつけること」です。8月から2か月では、ゼロからは間に合いません。
関連記事: 令和8年度の試験日程/合格率の推移/勉強時間の相場/科目別の勉強順序/スキマ時間の設計/直前1か月の過ごし方/科目免除/2次試験の全体像
出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度中小企業診断士第1次試験案内」「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」。学習時間の配分は運営者の実績にもとづく目安で、必要時間には個人差があります。模試得点・得点開示は運営者本人の実データです。