結論:財務・会計から始めて、中小企業経営・政策で終わる。これだけは動かせません
1次試験は7科目あります。どの順番で手を付けるかで、同じ学習時間でも到達点が変わります。理由は科目の性質が2つに割れているからです。
| タイプ | 科目 | 性質 | 着手 |
|---|---|---|---|
| 積み上げ型 | 財務・会計、経済学・経済政策 | 毎日触れないと落ちる。理解の階層がある | 最初 |
| 中間型 | 企業経営理論、運営管理 | 範囲が広く、演習量に比例して伸びる | 中盤 |
| 暗記型 | 経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策 | 直前期の詰め込みが効く。早くやると忘れる | 最後 |
この順番を守らないと、暗記科目を6月に仕上げても8月には残っていないという事故が起きます。逆に財務・会計を後回しにすると、2次の事例IVまで巻き込んで崩れます。
私は3年目に1次を7科目すべて受け直しました。その年の模試は7科目合計487点です。この記事では、その配分の根拠と推奨順序を示します。
推奨順序:7科目を4フェーズに割る
| フェーズ | 科目 | 目安時間 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 第1(着手〜3か月) | 財務・会計 | 150時間 | 2次の事例IVと地続き。最も早く始め、最後まで毎日続ける |
| 第2(2〜5か月目) | 企業経営理論 | 110時間 | 2次の事例I・IIの土台。早く入れるほど2次対策の助走が伸びる |
| 第2(3〜6か月目) | 運営管理 | 130時間 | 範囲が広い。2次の事例IIIにもつながる |
| 第3(5〜7か月目) | 経済学・経済政策 | 90時間 | グラフの理解に時間がかかる。ただし60点台で十分 |
| 第4(試験前3か月) | 経営法務 | 80時間 | 暗記中心。法改正があるため古い知識は使えない |
| 第4(試験前3か月) | 経営情報システム | 90時間 | 暗記8割。用語を先にやっても忘れる |
| 第4(試験前2か月) | 中小企業経営・政策 | 70時間 | 唯一「わざと遅く始める」科目。白書は毎年変わる |
合計720時間。勉強時間の相場で試算した1次800時間規模と整合します。残りは模試と過去問の通し演習に充てる想定です。
なぜ財務・会計が最初なのか
理由は3つあります。
第一に、積み上げ型だからです。簿記の仕訳がわからなければ財務諸表が読めず、財務諸表が読めなければ経営分析ができず、経営分析ができなければ意思決定会計に進めません。階層があるため、飛ばして先に進めない科目です。
第二に、2次の事例IVに直結するからです。1次の財務・会計と2次の事例IVは、扱う論点がほぼ同じです。1次の学習がそのまま2次の準備になる唯一の科目と言っていい。
第三に、勘が鈍るのが最も速いからです。数日空けると計算のスピードが落ちます。財務・会計の勉強法で書いたとおり、私は3年間、財務・会計と事例IVに毎日触れていました。最初に始めて、最後まで続けるのがこの科目の扱い方です。
私の1年目の事例IVは36点で基準点割れでした。原因は明快で、この毎日を怠ったからです。
なぜ中小企業経営・政策が最後なのか
この科目だけは、早く始めることが明確に不利になります。理由は2つです。
第一に、出題の元になる中小企業白書が毎年変わります。前年の白書で覚えた統計は、翌年には使えません。
第二に、純粋な暗記科目だからです。共済制度の要件、金融支援の対象、統計の数値——いずれも理解ではなく記憶で答えます。3か月前に覚えたものは、試験当日には相当量が抜けています。
私の3年目は、この科目の模試が63点で7科目中の最低点でした。模試の時点で白書に本腰を入れていなかったためです。そこから本試験までの3週間で週7時間、合計21時間を追加投入しています。中小企業経営・政策の勉強法に詳しく書きました。
2次を見据えると順序はこう変わる

出典: 運営者提供(氏名・受験番号等はマスキング済み)
ここが他の解説とはっきり違う点です。1次の順序は、2次への接続で決めるべきだと考えています。
| 1次科目 | 2次との接続 | 優先度への影響 |
|---|---|---|
| 財務・会計 | 事例IV(ほぼ同一論点) | 最優先。1次対策が2次対策そのもの |
| 企業経営理論 | 事例I・事例II(組織人事・マーケ) | 高。解答語彙の供給源 |
| 運営管理 | 事例III(生産管理) | 中。生産管理分野のみ接続 |
| 経営法務 | ほぼなし | 低。1次専用 |
| 経営情報システム | ほぼなし | 低。1次専用 |
| 経済学・経済政策 | なし | 低。1次専用 |
| 中小企業経営・政策 | なし | 低。1次専用 |
2次に接続する3科目(財務・会計、企業経営理論、運営管理)を先に固めれば、1次合格後の2次対策が助走なしで始められます。逆にこの3科目を直前に詰め込むと、8月の1次合格から10月の2次まで2か月しかない期間で、ゼロから2次に取り組むことになります。
私の3年目の模試が企業経営理論82点だったのは、2次対策で毎日この分野に触れていたからです。企業経営理論の勉強法で書いたとおり、この科目は貯金科目にする価値があります。
科目合格を使う場合の順序
複数年計画なら順序の考え方が変わります。科目合格は翌年度・翌々年度の2年間有効なので、有効期限内に全科目を揃える設計が必要です。
| 年度 | 受ける科目 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1年目 | 財務・会計、企業経営理論、運営管理、経済学 | 積み上げ型と中間型を先に片づける。2次に効く3科目を含める |
| 2年目 | 経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策 | 暗記3科目に集中。1年目の合格科目を免除申請する |
この分割が最も自然です。理由は暗記3科目は同時に短期集中でやるのが最も効率的だからです。私も3年目に、この3科目に診断士ゼミナールを併用して集中的に回しました。模試の結果は情報72点・法務68点・中小63点です。
注意点として、科目免除で書いたとおり免除は申請しなければ適用されず、得意科目を免除すると総得点で不利になります。1年目に高得点だった科目は、あえて免除せず受け直して貯金を作るという選択もあります。
やってはいけない順序
| やりがちな順序 | 何が起きるか |
|---|---|
| 試験案内の並び順(経済学から) | 最も抽象度の高い科目で挫折する。財務の着手が遅れる |
| 得意そうな科目から | 苦手科目が直前に集中し、足切りリスクが上がる |
| 暗記科目を先に完成させる | 試験までに忘れる。特に中小企業経営・政策は白書が変わる |
| 財務・会計を最後に回す | 1次で足を引っ張り、2次の事例IVでも崩れる |
| 全科目を毎日均等に回す | どれも中途半端になる。暗記科目は忘却が先行する |
特に1行目は要注意です。試験案内や多くのテキストは経済学から並んでいますが、これは学習順として推奨されているわけではありません。経済学はグラフを描けるかで決まる科目で、抽象度が高く、最初にやると挫折しやすい。
直前1か月は順序を組み替える
試験1か月前になったら、学習順序の考え方を切り替えます。「積み上げか暗記か」ではなく「伸ばすか維持するか」で仕分けるフェーズです。
私の3年目は、模試の結果(中小63・経済64が下位)を見て、残り3週間の時間を中小企業経営・政策に最も多く配分しました。直前1か月の過ごし方に具体的な配分を書いています。
まとめ
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 最初にやる科目 | 財務・会計。積み上げ型で、2次の事例IVに直結する |
| 最後にやる科目 | 中小企業経営・政策。白書が毎年変わり、暗記は直前が効く |
| 順序を決める基準 | 科目の性質(積み上げ/暗記)と、2次への接続 |
| 2年計画の分割 | 1年目に財務・企業経営理論・運営管理・経済学、2年目に暗記3科目 |
| 避けるべき順序 | 試験案内の並び順。経済学から始めると挫折しやすい |
| 直前1か月 | 科目の性質ではなく「伸ばす・維持する」で組み替える |
7科目の順序は、1次に受かるためだけでなく、2次にどう繋ぐかで決めてください。1次合格から2次まではわずか2か月しかありません。
関連記事: 試験科目一覧/勉強時間の相場/財務・会計の勉強法/企業経営理論の勉強法/運営管理の勉強法/経済学の勉強法/中小企業経営・政策の勉強法/直前1か月の過ごし方/科目免除
出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度中小企業診断士第1次試験案内」(試験科目・合格基準)。時間配分は運営者の学習実績にもとづく目安で、必要時間には個人差があります。模試得点は運営者本人の実データです。