私がTACに通ったのは、2次試験の2年目です。1年目は「ふぞろいな合格答案」と過去問だけで独学し、213点で不合格でした。
TACに通った年も2次試験には合格していません。それでも「このまま続ければいつか受かる」という確信を持てた——これが最大の収穫でした。翌年244点で合格できたのは、この年に積み上げた土台があったからです。
総合評価
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出典: https://www.tac-school.co.jp/kouza_chusho.html(2026年7月26日取得)
独学の限界だった「全体像が見えない」問題が解けた
独学だった1年目、私は「ふぞろい」で採点しながら過去問をひたすら繰り返していました。しかし振り返ると、これは地図を持たずに歩き回っていたようなものです。
2次試験の各事例で、そもそもどんな知識が必要とされ、その体系のなかで自分は今どこが弱いのか——それが分からないまま、ただ回数だけを重ねていました。だから復習しても「何を補強すべきか」が決まらない。
TACのカリキュラムは、まず知識のインプット講義から始まり、そのうえで演習を反復する構成になっています。この順序で進むと、演習を重ねるだけで2次試験に必要な知識が自然と網羅されていく。自分の穴がどこにあるかを、演習の結果として突きつけられる状態になります。地図が手に入った感覚でした。
答案を人に見てもらう価値
TACでは演習のたびに答案を提出し、講師の添削を受けます。この工程が独学との決定的な差でした。
添削で得られたのは、単なる正誤ではありません。
- 模範解答とは違う切り口でも「これなら加点される」と判断される答案
- 逆に「この書き方では点にならない」と切られる答案
- 自分の答案に、どの程度の妥当性があるのか
2次試験の採点基準は公表されていません。だからこそ、自分の答案を第三者に客観的に評価してもらう経験が効きます。独学ではどうしても「ふぞろいのキーワードと合っていたか」だけの自己採点になり、答案としての筋の通り方までは見てもらえません。
解き方のテクニックを事例ごとに教わる
知識と同じくらい有益だったのが、試験そのものの攻略法です。
- 80分をどう配分するか
- 与件文のどこに着目して読むか
- 問題用紙・与件文にどう書き込みを入れるか
これらを事例I〜IVそれぞれについて教えてもらえます。2次試験は時間との勝負なので、手順が決まっているかどうかで結果が変わります。
最大の収穫は事例IVの「戦略」だった
私がTACで得たもののなかで、いちばん合格に近づいたと感じるのが事例IVの考え方です。
事例IVは、経理経験や簿記・税理士の学習歴といったバックグラウンドがない人にとって、独学で合格レベルまで持っていくハードルが非常に高い科目です。実際、私は1年目に事例IVで36点を取り、足切りラインを下回りました。

「何を解くか」より「何を解かないか」
TACで教わった事例IVの戦略は、突き詰めると解くべき問題と、解かなくていい問題を見極めることでした。
2次試験は相対評価です。この前提に立つと、次のことが言えます。
- 周りも解けない難問を落としても、差はつかない
- 周りが解ける問題を落とすと、致命的な失点になる
つまり、難易度の低いジャンルの問題は絶対に取りきる。難易度の高い問題は、最初から捨てる判断をしてよい。これを問題を見た瞬間に判断できる状態で試験に臨むことが決定的に重要でした。
1年目の私は、この判断基準を持っていませんでした。難問に時間を吸い取られ、取れるはずの問題まで落として36点。翌年以降、事例IVは69点・59点と安定しています。
正直に感じた弱点
- 2次試験の全体像と自分の弱点が可視化される
- 答案を講師に添削してもらえる
- 事例ごとの解答手順・時間配分が身につく
- 事例IVの戦略が学べる
- 通学だからこその受験仲間ができる
- 費用が高い(30万円前後)
- 模範解答に独自の「型」の癖がある
- 通学の時間的拘束が大きい
- TACの解法だけでは合格を保証できない
模範解答の「癖」には注意が必要
TACの模範解答には、独自の型があります。TACの考え方どおりに解けば必ず受かる、とは言えません。
私が最終的に合格した年は、TACの解法を土台にしつつ、「ふぞろい」やインターネット上で公開されている再現答案とその得点を分析し、実際に合格している答案がどう書かれているのかを一つひとつ確認していきました。特定の予備校の型に染まりきらず、複数の視点から答案を検証する作業は、どの講座を使うにせよ必要になります。
受験仲間ができるのは通学の特権
オンライン講座にはない価値として、同じ教室に集まる仲間ができることを挙げておきます。
受験期には一緒に飲みに行くこともありましたが、本当に効いてくるのは合格後です。診断士としてどう活動するか、どんな仕事をしていくか——そうした相談ができる相手が、同じタイミングで資格を取った仲間として残ります。
診断士試験は合格がゴールではありません。その後を見据えるなら、通学で人間関係ができることは十分に投資に見合います。この点はスタディングや診断士ゼミナールでは代替できません。
料金
2次試験対策のコースは「2次本科生」「2次演習本科生」「2次ファイナル本科生」など複数用意されています。1次から通しで学ぶ「1・2次ストレート本科生」は315,000円(別途入会金10,000円)です。
教育訓練給付制度の対象コースがあり、条件を満たせば受講料の一部が支給されます。対象は1・2次速修本科生、1・2次ストレート本科生、1次本科生、2次本科生B、2次演習本科生Aなどです。
ネット上の評判で言われていること
| よく挙がる長所 | よく挙がる短所 |
|---|---|
| 1次試験対策の強さ。出題傾向の分析がテキスト・答練に反映されている | 料金が相場より10〜15万円高い |
| 通信生でも教室で受講できるスクーリング制度がある | 2次試験対策は相対的に弱いという指摘が繰り返し出てくる |
| 模試の母集団が全国最大級で、順位が客観指標になる | 質問回数に制限がある |
参照: MOREな資格図鑑「TAC中小企業診断士講座の評判・口コミ」/まるさんの資格通信講座ナビ「TACの2次試験対策が評判悪いってホント?」(いずれも2026年7月26日確認)
「2次が弱い」という評判を、実際に通った立場から検証する
この評判は、私の体験とかなり一致します。私はTAC名古屋に通学した年、模試は2次実力チェック模試でA判定(161位/1,043人=上位約15%)、2次公開模試でもA判定(52位/1,708人=上位約3%)という成績を取りながら、本試験は226点で不合格でした。
原因は演習量ではなく、事例IIIの設問解釈のずれでした。TACの答案作成メソッドは型として完成度が高い一方で、型に当てはめきれない設問が出たときの立て直し方までは埋まりにくい——これが「2次が弱い」と言われる中身だと考えています。
逆に言えば、1次対策としてのTACは価格に見合うと感じています。TACを選ぶなら、2次は別に手当てする前提(ふぞろいでの採点トレーニングや2次専門校の併用)で計画を立てるのが現実的です。
※コース別の受講料は改定・キャンペーンで変動します。申込前に公式サイトでご確認ください。
合格実績の公表
TACは2次試験について「合格率63.3%(本科生カリキュラム修了者151名中51名)」という形で公表しています。母数と分子が明示されている点は評価できますが、「カリキュラム修了者」という条件付きである点は理解しておく必要があります。修了要件には答案提出率75%以上などが含まれるため、途中離脱者は母数から外れます。
各社の公表方法の違いは合格実績の透明性比較で整理しています。
他の講座との比較
| 講座 | 価格帯(税込) | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| TAC | 約31.5万円 | 添削・演習量・事例IVの戦略・受験仲間 | 費用と時間の負担が大きい |
| スタディング | 4.84万〜8.97万円 | 1次の演習量とスキマ学習 | 2次の記述訓練が手薄 |
| 診断士ゼミナール | 2.7万〜5.98万円 | 価格の安さ・動画ダウンロード | 学習管理は自力 |
1次はスタディングや診断士ゼミナールで費用を抑え、2次でTACに投資する——3年間で3社を使った私の実感としては、この配分が現実的です。
よくある質問
TACに通えば2次試験に合格できますか?
私は通った年に合格していません。ただし、知識と解答手順が身につき「続ければ受かる」という確信は得られました。TACの解法を土台にしつつ、再現答案の分析など自分で幅を広げる作業は別途必要です。
通信(Web通信・ビデオブース)でも同じ効果がありますか?
講義と演習の中身は同じですが、受験仲間ができる点は通学ならではです。人間関係を重視するなら教室講座をおすすめします。
2次だけTACを使うのはアリですか?
私自身がその使い方をしました。1次は独学や低価格のオンライン講座で突破し、2次で添削のある講座に投資する——費用対効果は高いと感じています。
まとめ
TACは、2次試験で何をすればいいか分からなくなった人が、全体像と解答手順を手に入れるための講座です。費用は高く、通った年に必ず受かるとも限りません。それでも、独学では届かなかった「答案を見てもらう経験」と「事例IVの戦略」、そして合格後まで続く仲間は、投じた金額に見合うものでした。
自分に合う講座を条件から絞り込みたい方は、講座診断チャートもご利用ください。
※本記事の価格・サービス内容は2026年7月時点で公式サイトを確認した情報です。