3年間で1次試験を2度、2次試験を3度受けて中小企業診断士に合格しました。使った教材はふぞろいな合格答案、TACの事例IVの解き方、TACの過去問題集、事例IVの全知識&全ノウハウ、TACのスピードテキスト・スピード問題集、まとめシート流ゼロから始める2次対策といった市販の書籍が中心で、答案を人に見てもらって添削を受けるという学習方法は取っていません。添削なしで受かるかどうかという問いに対する答えは、3年かかったという事実込みで「条件付きで受かる」というのが実感に近い答えです。

添削がないと何が起きるか
2次試験の記述式答案は、自分では論理的に書けているつもりでも、採点者の視点で見ると設問が求めている論点からずれていることがあります。本来ならここで第三者の添削が、自分では気づけないずれを指摘してくれる役割を果たします。添削を受けない場合、このずれに気づく手段を自分で用意する必要があり、実際に頼っていたのがふぞろいな合格答案でした。合格者の再現答案と自分の答案を並べて、共通しているキーワードと欠けているキーワードを突き合わせることで、添削者がいなくてもずれの存在自体には気づけます。
ただし、なぜそのずれが起きたのかという原因の分析は、添削者が言葉にしてくれない分、自分で言語化する必要があり、この作業に時間がかかったことが3年という期間の一因になっています。
1年目、添削なしの弱点がそのまま出た年
1年目はふぞろいと過去問だけで2次試験に挑み、事例I 48点・事例II 61点・事例III 68点、事例IVが36点で合計213点、事例IVの基準点割れで不合格でした。この年は、2次試験で問われる知識の全体像も、自分がどこでつまずいているのかも見えないまま、とにかく過去問を解く回数だけを重ねていました。添削者がいれば「事例IVの基礎知識が不足している」と早い段階で指摘されたはずですが、それを自分で気づくまでに1年分の受験結果を待つことになったのが、添削なし学習の分かりやすいコストです。
2年目、市販教材で知識の抜けを埋める
2年目は事例IVについてTACの事例IVの解き方、事例IVの全知識&全ノウハウ、TACの過去問題集を使い、経営分析・CVP分析・意思決定会計といった単元ごとの解法の型を身につけることに集中しました。あわせてTACで「解くべき問題と捨てる問題を見極める」という戦略の考え方に触れたことが決定的で、事例IVは36点から69点まで伸びています。一方で事例I〜IIIはふぞろい中心の学習を続けており、事例IIIが44点にとどまり、合計226点で不合格となりました。
添削を受けていれば事例IIIの設問解釈のずれをこの時点で指摘されていた可能性がありますが、独学ではこのずれの存在に気づくまでにさらに1年を要しています。
3年目、原因を自分で特定できたことが合格につながった
3年目は新しい教材を追加せず、過去問と自分の答案・合格答案の読み比べだけに時間を使いました。この年になってようやく、事例IIIの44点は知識不足ではなく設問解釈のずれが原因だったと言語化でき、事例IIIは68点まで改善しています。事例I 66点・事例II 51点・事例IV 59点とあわせて合計244点で合格しました。振り返ると、添削者がいれば1年目か2年目の段階で指摘されていたであろう原因に、独学では3年目までかかってようやくたどり着いたことになります。
| 年度 | 事例I | 事例II | 事例III | 事例IV | 合計 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 48 | 61 | 68 | 36 | 213 | 事例IV足切り |
| 令和5年度 | 58 | 55 | 44 | 69 | 226 | 不合格 |
| 令和6年度 | 66 | 51 | 68 | 59 | 244 | 合格 |
添削なしで合格するために必要だった条件
この経験から言えるのは、添削を受けない選択をするなら、添削の代わりになる比較対象を自分で用意することが最低条件だということです。ふぞろいな合格答案のような合格者の再現答案集は、その代替になり得ますが、あくまで「ずれの存在に気づく」ところまでしか助けてくれません。「なぜそのずれが起きたのか」を自分の言葉で説明できるまで踏み込む作業は、添削を受けていれば他人がやってくれる部分を自分で引き受けることになります。
もう一つの条件は、事例IVのように知識の欠落がそのまま失点につながる科目については、答案の読み比べだけに頼らず、単元別に解法の型を学び直す教材を別途用意することです。この2つの条件を欠いたまま独学を続けていたのが1年目で、2つの条件を満たしていく過程に2年かかったというのが、3年という期間の内訳になります。
添削を受ける選択肢と比べたときの得失
添削サービス付きの講座であれば、自分では気づけない設問解釈のずれを、講師が答案を読んだ時点で指摘してくれます。このスピードの違いは大きく、独学であれば試験結果が返ってくるまで気づけないずれを、添削であれば次の演習ですぐに修正に取りかかれます。一方で、添削を受けるにはその分の費用と、講師の指摘を待つ時間がかかります。独学は費用を抑えられる代わりに、ずれの発見と原因分析のすべてを自分で担う必要があり、その分だけ時間がかかるというのが率直な比較です。
3年間かけて合格した実体験は、この時間のかかり方を身をもって示した形になっています。1年で結果を出したいのであれば添削サービスの活用を検討する価値があり、時間をかけてでも自分で答案を分析する力そのものを鍛えたいのであれば独学にも意味があります。
書籍だけでは補えなかった時間配分の感覚
添削の有無とは別に、独学を進める中でもう一つ痛感したのが、書籍を読み込むだけでは80分の中でどの問題を解き、どの問題を捨てるかという試験戦略が身につかないという点です。ふぞろいで合格答案の型を知り、事例IVの全知識&全ノウハウのような書籍で知識を仕上げても、それは知識のインプットと過去問演習の質を上げる効果にとどまり、本番で安定して基準点を超えるための時間配分の判断軸までは、書籍を読むだけでは磨かれませんでした。
2年目に事例IVの得点が大きく伸びた要因の一つは、TACの講座で講師の生の声を聞き、解くべき設問と部分点だけ狙う設問の見極め方を教わったことにあります。独学のみで完結させようとせず、試験戦略の部分だけは予備校や模試といった書籍以外の手段で補うことが、平均60点以上を安定して出すためには重要だったと感じています。
独学に向いている人の条件
独学で進めるなら、合格答案との比較作業を面倒がらずに継続できることと、自分の答案の欠点を認める作業に耐えられることの2つが最低条件になると感じています。ふぞろいのような教材で客観的な比較材料は手に入りますが、その比較結果から「なぜ自分はそう書いてしまったのか」を掘り下げる作業は、結局のところ自分自身にしかできません。この掘り下げを毎回きちんとやり切れるかどうかが、独学で合格までたどり着けるかどうかの分かれ目になると思います。
3年という期間をどう捉えるか
1次試験を2度、2次試験を3度受けて合格するまでの3年間は、短い期間だったとは言えません。ただ、この3年間のうち本当に足踏みしていたのは1年目から2年目にかけてで、3年目は教材を増やさずに原因分析だけに集中したことで、事例IIIと総合点の両方が大きく改善しています。添削を受けていれば1年目か2年目の段階で指摘されていたであろう原因に自力でたどり着くまでに時間がかかったことは事実ですが、逆に言えば、原因さえ自分で特定できれば、そこから合格までの距離は決して遠くなかったとも言えます。
独学で臨む場合は、この「原因を特定するまでの時間」をあらかじめ見込んでおき、3年程度の期間を確保できるかどうかを判断材料にするのが現実的だと思います。
独学と教材選びの現実的な落としどころ
添削を受けずに合格することは可能ですが、その分、原因分析にかかる時間を教材の使い方と自分自身の作業量で埋める必要があります。逆に言えば、原因分析を早めたいのであれば、添削サービス付きの講座を選ぶという判断も合理的です。教材や講座ごとの特徴の比較は比較ページ、独学そのものの向き不向きの判断材料は独学のページにまとめています。事例IVの対策の詳細は事例IV対策の全体像の記事、ふぞろいの具体的な使い方はふぞろいな合格答案の使い方の記事を参考にしてください。学習方法に迷う場合は無料相談ページから相談できます。