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2次試験対策 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

ふぞろいな合格答案の使い方|合格者が実践した採点トレーニング

中小企業診断士の2次試験には、公式の模範解答が存在しません。試験元が公表するのは配点と合格基準点だけで、どの答案がどれだけ加点されたのかは受験生には見えないまま結果通知が届きます。この不透明な採点構造の中で、実際に合格した受験生の再現答案と得点、そして答案に含まれていたキーワードを集めて分析した本が「ふぞろいな合格答案」です。ただし、この本を持っているだけでは点数は伸びません。持っているだけで終わった1年目と、使い方を変えて得点が動いた3年目とでは、同じ本でも得られたものがまったく違いました。

ふぞろいな合格答案エピソード19の書誌情報ページ
最新刊『ふぞろいな合格答案 エピソード19』(2026年版)。B5判288頁・2,860円で、令和7年度2次試験の答案分析と再現答案を収録出典: 同友館オンライン(2026年7月26日取得)

模範解答のない試験で、ふぞろいが果たす役割

2次試験の答案は、複数の採点者が部分点方式で採点していると考えられています。設問の趣旨に沿ったキーワードや論理構成が答案に含まれているかどうかで、断片的に点数が積み上がっていく仕組みです。ふぞろいはこの構造を逆手に取り、合格者・不合格者双方の再現答案を集約し、どの答案にどのキーワードが含まれ、実際に何点だったかを突き合わせて「合格ラインに乗る答案の共通要素」を推定しています。

単一の正解を暗記する教材ではなく、複数の合格答案を横に並べて眺めることで、設問が要求している論点の幅を把握するための教材だと捉えると使い方が見えてきます。事例I・II・IIIのような記述式の事例については、ネット上に公開されている複数の再現答案とその得点を見比べながらこの読み比べを積み重ねていけば、ふぞろいの学習だけでも60点を超える水準まで到達することは十分可能だというのが、3年間使い続けた実感です。

1年目、ふぞろいと過去問だけで臨んで見えていなかったもの

1年目の2次試験は、ふぞろいと過去問だけで対策し、事例I 48点・事例II 61点・事例III 68点、そして事例IVが36点で合計213点、事例IVの得点が基準点に届かず不合格でした。振り返って一番の反省点は、ふぞろいを開いて合格答案を読んでも「なるほど、こう書けばよかったのか」で終わっていたことです。合格答案を読むこと自体はできていても、自分の答案との差分がどの知識の欠落から生じているのか、そもそも2次試験で問われる知識の全体像がどこまで広がっているのかを把握できていませんでした。

教材を増やさずふぞろいと過去問だけで回数を重ねていたのですが、量をこなすことと理解が深まることは別物だと、この年に痛感しました。

3年目、使い方を「読み比べ」に絞り込んだ

2年目は事例IVの点数を36点から69点まで引き上げることに集中し、事例I・II・IIIはふぞろい中心の学習を継続しました。それでも事例IIIが44点にとどまり、合計226点で再び不合格となります。3年目は新しい教材を追加せず、過去問と「自分の答案とふぞろいの合格答案の読み比べ」だけに時間を使う決断をしました。事例IIIの44点は、知識が足りなかったのではなく設問解釈がずれていたことが敗因だったと、この年になってようやく言語化できました。

生産管理や品質管理の知識自体は持っていても、設問文が聞いている論点をどの切り口で捉えるかがずれていたため、正しい知識を書いても加点対象からはずれていたのです。読み比べに絞ったことで、この「ずれ」が繰り返し起きているパターンだと気づけるようになり、3年目は事例IIIが68点まで伸び、合計244点で合格となりました。

年度 事例I 事例II 事例III 事例IV 合計 結果
令和4年度 48 61 68 36 213 事例IV足切り
令和5年度 58 55 44 69 226 不合格
令和6年度 66 51 68 59 244 合格

この推移を見ると、事例IVが36点から69点に伸びた2年目に事例IIIが44点に落ち込み、事例IIIを68点まで戻した3年目には事例IVがやや下がって59点という具合に、4事例すべてを同時に高得点で揃えることの難しさが表れています。2次試験は相対評価であり、全事例を満遍なく高得点で揃える必要はなく、他の受験生も落とすような難問を落としても差はつきません。逆に、周りの受験生が拾えている設問を自分だけ落とすことが致命傷になります。ふぞろいの読み比べは、この「周りが拾えている設問はどれか」を推定する手がかりになります。

合格+A答案とA答案・B答案の間でキーワードの含有率が大きく変わる論点ほど、多くの受験生が拾えている設問である可能性が高いからです。

採点トレーニングの具体的な手順

実際にやっていた手順は単純です。まず過去問を80分で解き、自分の答案を書き終えたらふぞろいの該当年度・該当設問のページを開きます。次に、合格+A答案に共通して登場するキーワードと、自分の答案に書いたキーワードを照らし合わせ、共通している部分と欠けている部分を線を引きながら仕分けます。ここで欠けている部分がある場合、その原因が知識不足なのか、設問文の読み取り方がずれていたのかを区別することが重要です。

知識が欠けていたのであれば、事例IVであれば別途知識系の教材で補い、設問解釈がずれていたのであれば、なぜそう読んでしまったのかを与件文に戻って確認します。この作業を1問ごとに繰り返し、同じ種類のずれが複数の年度で起きていないかを記録しておくと、自分の答案の癖が可視化されていきます。

自己採点にありがちな落とし穴

自分の答案とふぞろいの合格答案を照らし合わせる作業をしていると、表現は違うが趣旨は同じだと自分に都合よく解釈してしまうことがあります。たとえば与件文の言葉をそのまま抜き出して並べただけの答案でも、自分で読み返すと「言いたいことは伝わっている」ように感じてしまい、実際にはキーワードとして拾われない書き方になっていることに気づけません。この落とし穴を避けるために、合格+A答案とB答案・C答案を並べて読む作業を取り入れていました。

合格+A答案では設問の制約条件(誰に対して、何のために、といった条件)に対応する形で答案が構成されているのに対し、B答案・C答案では同じキーワードが含まれていても制約条件への対応が抜けている、という違いがしばしば見られます。自分の答案がどちらの型に近いかを、合格+A答案とだけでなくB答案・C答案とも比べることで、甘い自己採点に流されにくくなりました

与件文に戻る作業を省略しないこと

設問解釈のずれに気づいたとき、次にやるべきは合格答案の表現を丸暗記することではなく、与件文のどの記述を根拠にその答案が組み立てられているかを確認する作業です。事例IIIで44点だった年は、与件文に書かれている生産管理上の課題を読み取る段階で、設問が求めている切り口とは別の切り口で読んでしまっていました。合格答案の表現をそのまま真似ても、次の年度で与件文の書かれ方が変われば同じ失敗を繰り返します。

与件文のどの一文が答案のどの部分に対応しているかを線でつなぐ作業を挟むことで、表現の丸暗記ではなく、読み取り方の癖そのものを修正することができました。

ふぞろいだけでは埋まらない部分

ふぞろいは答案の書き方や論点の拾い方を鍛える教材であり、計算問題が中心の事例IVについては、そもそも解法の知識や計算手順が身についていなければ答案の土台自体が組み上がりません。事例IVは経営分析、CVP分析、意思決定会計、キャッシュフロー計算といった単元ごとに問われる知識の性質がまったく異なり、再現答案を読み比べるだけでは科目全体の見取り図がつかみにくいというのが実感です。

1年目に事例IVで足切りになった原因も、ふぞろいで答案の書き方を眺めるだけでは、経営分析や意思決定会計の計算手順そのものは身につかなかったことにあります。事例IVの対策をどう組み立て直したかは事例IV対策の全体像の記事で詳しく書いています。またふぞろいのどの版・どのシリーズを選べばよいかはふぞろいな合格答案レビューの記事にまとめました。2次試験全体の対策の組み立て方は2次試験対策のページ、独学で最後まで走り切れるかどうかは2次試験は独学で受かるかの記事で判断材料を整理しています。診断士講座や教材の比較は比較ページ、無料相談は無料相談ページから確認できます。