中小企業診断士は独立しなくても、会社に籍を置いたまま稼げる資格です。そしてその環境は、この数年で劇的に整いました。
勤務先で副業が認められている診断士は79.1%。前回2021年調査の47.0%から、4年で1.7倍に増えています(日本中小企業診断士協会連合会の公式調査/回答1,847名)。
この記事では、副業として実際にいくら稼げるのかを、公式の単価データで具体的に計算します。
まず環境:8割の会社が副業を認めている
| 勤務先の副業制度 | 2026年調査 | 2021年調査 |
|---|---|---|
| 全面的に認められている | 19.1% | 合計47.0% |
| 一部認められている(許可制等) | 60.0% | |
| 認められている(合計) | 79.1% | 47.0% |
| 認められていない | 18.3% | — |
ただし6割は「許可制」である点に注意してください。始める前に社内規程の確認が必要です。実際、コンサルティング業務を行っていない人の理由として「会社との契約上、副業ができない」28.0%が挙がっています。
単価データ:1日あたりいくらか
ここが最も知りたい部分だと思います。公式調査は業務ごとの1日単価を公表しています。
| 業務 | 公的業務が中心の層 | 民間業務が中心の層 |
|---|---|---|
| 診断業務(1日) | 39.4千円 | 107.2千円 |
| 経営支援業務(1日) | 43.3千円 | 119.4千円 |
| 調査研究業務(1日) | 30.5千円 | 92.0千円 |
| 講演・教育訓練(1日) | 43.8千円 | 115.2千円 |
| 執筆業務(400字1枚) | 13.7千円 | 13.4千円 |
公的機関経由の仕事なら1日4万円前後、民間の直接受注なら1日10万円超——これが相場です。
副業として現実的な稼働で試算すると
会社員が本業と両立できる範囲を、月2〜4日と置いて計算します。
| 稼働 | 公的業務中心(約4万円/日) | 民間業務中心(約11万円/日) |
|---|---|---|
| 月2日(土日のみ) | 月8万円/年約96万円 | 月22万円/年約264万円 |
| 月4日 | 月16万円/年約192万円 | 月44万円/年約528万円 |
土日だけで年100万〜200万円——これが副業診断士の現実的なレンジです。民間の直接受注まで広げられれば桁が変わりますが、そこは営業力の問題になります。
※上記は公表単価から当サイトが試算した目安であり、収入を保証するものではありません。実際の単価・稼働は案件と地域により変動します。
副業の入口は「公的機関の専門家登録」
では、その仕事はどこから来るのか。公式データが明快に答えています。
| 専門家登録している組織 | 割合 |
|---|---|
| 商工会・商工会議所(専門家・相談員等) | 37.1% |
| 都道府県(専門家・相談員等) | 24.9% |
| 中小企業基盤整備機構 | 16.9% |
| 市区町村(専門家・相談員等) | 12.8% |
| よろず支援拠点 | 6.2% |
| 行っていない | 20.0% |
約8割の診断士が、どこかの公的機関に専門家・相談員として登録しています。
仕事の入口も同じ構造です。依頼を受けたきっかけの1位は「中小企業支援機関・商工団体からの紹介」20.1%、2位が「県協会からの紹介」15.9%、3位が「相談窓口」9.5%。自分で営業しなくても、公的なネットワーク経由で仕事が回ってくるのが副業を始めやすい理由です。

副業として始めやすい順番
1. 公的機関の相談員・専門家派遣(最も現実的)
土日や平日夜の枠がある案件も多く、営業が不要。単価は民間より低いものの、実績と人脈が同時に手に入ります。まずは所属する都道府県の商工会議所・よろず支援拠点の専門家登録を調べるところから。
2. 執筆
400字1枚あたり約1.3万円。受験雑誌、業界誌、Webメディアなど。時間と場所を選ばないため、本業への影響が最小です。副業の第一歩として最も始めやすい部類に入ります。
3. セミナー・研修講師
1日あたり4.4万〜11.5万円と単価が高い一方、登壇実績がないと最初の依頼が来ません。相談員や執筆で名前が知られてから、という順番になります。
4. 補助金の申請支援
独立診断士の主戦場のひとつです。採択されれば成功報酬が入る一方、公募期間に作業が集中するため、本業との両立という意味では難易度が上がります。詳しくは合格後の仕事とは。
副業をやっていない人の理由
逆に、コンサルティング業務を行っていない23.8%の人の理由も見ておきます。
- 機会がないから:53.8%
- 会社の仕事に追われ、時間と余裕がない:43.5%
- 自分の能力不足:28.7%
- 会社との契約上、副業ができない:28.0%
- 資格を自分の仕事に生かしているから:15.9%
1位は能力でも時間でもなく「機会がない」です。裏を返せば、専門家登録をして機会の側に自分を置くだけで、上位の障壁は越えられるということになります。
副業は「更新要件」も兼ねる
見落とされがちですが重要な点です。診断士の登録は5年更新で、更新には実務従事の実績が必要です。
公式調査では、実務従事ポイントの取得方法として「休日等を活用してコンサルティング業務へ参加」が18.1%を占めています。副業で稼ぎながら、同時に資格の維持要件も満たせる——この一石二鳥は、副業を始める合理的な理由になります(詳しくは実務従事でポイントを積む方法)。
よくある質問
Q. 会社に副業を知られずにできますか?
A. おすすめしません。住民税の通知などで判明する可能性があり、就業規則違反になれば失うものが大きすぎます。79.1%の会社が認めている状況なので、まず正面から確認するほうが合理的です。
Q. 資格を取ってすぐ稼げますか?
A. すぐには難しいです。まず登録(実務補習または実務従事で15日)を済ませ、そこから専門家登録に進む流れになります。半年〜1年単位で考えてください。
Q. 会社員のまま診断士活動をしている人はどれくらい?
A. 企業内診断士は37.4%。そのうち62.4%が「本業(コンサルティング業務等)で実務従事ポイントを取得可能」と答えており、本業の延長で診断士的な仕事をしている層が過半数です。
まとめ
- 副業が認められている診断士は79.1%(2021年の47.0%から急増)。ただし6割は許可制
- 単価は公的で1日4万円前後、民間で1日10万円超
- 土日だけの稼働で年100万〜200万円が現実的なレンジ
- 入口は公的機関の専門家登録(約8割が登録済み)。営業不要で実績と人脈が手に入る
- やっていない人の理由1位は「機会がない」53.8%——機会の側に自分を置くだけで越えられる
- 副業は5年更新の実務従事要件も兼ねられる
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※数値の出典: 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和8年5月公表/調査時点 令和7年11月/回答1,847名)。試算は同資料の公表単価をもとにした当サイトの目安です。