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勉強法 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

中小企業診断士の過去問は何年分?1次5年・2次10年の根拠と使い方

「過去問は何年分やればいいですか」は、受験生から最も多く聞かれる質問のひとつです。結論から言うと、1次試験は5年分、2次試験は「過去問中心の独学なら10年分を5周」「予備校・通信講座を併用するなら5年分」が目安だと考えています。

AAS東京「みんなの再現答案」ブログ
AAS東京が運営する「みんなの再現答案」。得点付きの再現答案が年度別に無料公開されており、高得点順の並べ替えもできる出典: みんなの再現答案(AAS東京)(2026年7月26日取得)

運営者は2次筆記を3回受験しました。1年目は独学+スタディングで213点、2年目はTAC名古屋に通学して226点、3年目に244点で合格しています。学習スタイルを一通り変えながら受け続けた立場から、「何年分やるか」は勉強法によって変わるという結論に至りました。

結論:勉強スタイル別の目安

試験 学習スタイル 年数 周回数の目安
1次試験 独学・講座利用を問わず 5年分 3周程度(間違えた論点は追加で反復)
2次試験 過去問中心の独学(ふぞろい等を使い過去問演習で仕上げる) 10年分 5周程度
2次試験 予備校・通信講座を併用(オリジナル演習+添削を受ける) 5年分 講座の演習量に応じて調整

ポイントは2次試験の分岐です。「演習量をどこから確保するか」で必要な過去問の年数が変わります。

1次試験が5年分で足りる理由

1次はマークシートの知識試験です。同じ論点が形を変えて繰り返し問われるため、5年分も回せば「どの論点が毎年出るか」「どの深さまで問われるか」はほぼ見えてきます

それ以上さかのぼるより、5年分で見つかった弱点論点を、テキストやスピード問題集などのアウトプット教材で潰すほうが効率的です。過去問の年数を増やすことと、得点が伸びることはイコールではありません。

1次の過去問題集には、年度別に5年分を収録したタイプ(TAC過去問題集など)と、論点別に組み替えたタイプ(同友館『過去問完全マスター』など)があります。詳しい選び方はTAC第1次試験過去問題集の記事を参照してください。

2次試験:過去問だけで戦うなら10年分×5周

なぜ2次だけ年数が増えるのか

2次筆記は模範解答が公表されない記述式の試験です。知識よりも「初見の与件文にどう対応するか」という現場対応力が問われ、この力は解いた事例の数がそのまま経験値になります。

予備校に通わず市販の教材で仕上げる方は、演習の母数が過去問しかありません。だからこそ10年分を5周程度やり込む必要が出てきます。そこまでやれば、試験の感覚は十分に養われるはずです。

予備校・通信講座を使うなら5年分でよい理由

一方、予備校や通信講座を使う方は事情が違います。多くの講座ではオリジナルの演習問題を解いて講師に添削してもらうサービスが中心です。

まずはこれをしっかりやり切ってください。カリキュラムに従い、講師の言うことを聞く。これだけで必要な問題演習量と知識量はかなりの部分が確保できます。その上で過去問をやり込み、本番の現場対応力を磨く——という順番が良いと考えています。この場合、過去問は5年分程度で十分に機能します。

運営者自身、2年目はTAC名古屋に通学し、演習と添削を受けながら過去問を併用しました。結果は226点で不合格でしたが、これは事例IIIの設問解釈のずれが原因であり、演習量の不足ではなかったと考えています(詳細はTACの評判の記事)。

「縦解き」と「横解き」を使い分ける

2次の過去問演習、特に事例IVでは、解く順番の考え方が2つあります。

解き方 内容 目的
縦解き 1つの年度を、事例I〜IVまで通しで解く 本番と同じ時間感覚・体力配分をつかむ
横解き 論点・ジャンルごとに、複数年度を横断して解く 論点別の解法パターンを定着させる

事例IVを横解きするなら『事例IVの全知識&全ノウハウ』(同友館)がおすすめです。過去問を経営分析・CVP・NPVといった論点別に組み替えて収録しており、横解きの教材としてそのまま使えます。運営者も2年目に実際に使い、事例IVを36点から69点まで伸ばしました(詳細は事例IVの全知識&全ノウハウのレビュー)。

事例I〜IIIについては『2次試験合格者の頭の中にあった全知識/全ノウハウ』が論点・フレーム別の整理に役立ちます。縦解きと横解きはどちらか一方ではなく併用するものです。論点の穴を横解きで埋め、仕上げに縦解きで通しの感覚を作る、という使い分けが現実的です。

古すぎる過去問には注意する

年数を増やせば増やすほど良い、というわけではありません。あまりに古い過去問は、問題の出し方やテーマのトレンドが今と変わっており、そのまま使うと効率が落ちる部分があります。特に注意したいのは次の点です。

対象 古い年度で起きるズレ
1次 経営法務 会社法・知的財産法などの改正で、当時の正解が現在は正解でない設問がある
1次 中小企業経営・政策 白書・施策が毎年更新されるため、古い年度は基本的に使えない
1次 経営情報システム 技術トレンドの変化が速く、用語自体が入れ替わる
2次 事例I〜III 与件文で扱われる経営課題(デジタル化・人手不足・事業承継など)に時代性がある

だからこそ、1次は5年分、2次も10年より前にはさかのぼらないという線引きにしています。古い年度をやるときは「今の試験でも問われる論点か」を意識して使い分けてください。

2次で最も大事:再現答案と得点開示をセットで見る

年数や周回数より、これをやっているかどうかで差がつくと考えているのが「再現答案」の活用です。

2次筆記は模範解答が公表されません。したがって「どのくらいの答案を書くと実際に何点もらえるのか」を知る手がかりは、得点開示を受けた受験生の再現答案しかありません。

完璧な答案を目指す必要はありません。むしろ「この程度の答案でも60点前後は入るのか」という得点の相場観を先につかんでから勉強を進めることが、遠回りを避ける近道だと考えています。

再現答案と得点が確認できる主なサービス

サービス 内容 費用
みんなの再現答案(AAS東京) 得点付きの再現答案を年度別に無料公開。高得点順の並べ替えや「80点以上」「70点台」での抽出ができる 無料
一発合格道場(得点開示) 執筆メンバーの再現答案と開示得点を、思考プロセスの解説つきで公開 無料
『ふぞろいな合格答案』(同友館) 受験生から集めた再現答案を得点区分つきで多数分析した書籍。毎年最新版が刊行 2,860円
LEC 再現答案ABCD判定 自分の再現答案をABCD判定+総評してもらえる(無料版は人数制限あり) 無料版あり

※実施年度・公開範囲・費用は年度ごとに変わります。

そして受験した年は、自分でも再現答案を作り、得点開示請求をしてください。自分の答案と点数のセットが手元にあると、次年度の対策の精度が段違いに上がります。運営者は開示結果から事例IIIの弱点(2年目44点)を特定し、3年目に68点まで改善して合格しました。

過去問は「取っておく」ものではありません

年数の話以上に伝えたいことがあります。過去問は、なるべく早く着手してください。

「もう少し知識がついてから」「直前期の実力チェック用に取っておこう」と考える方は非常に多いのですが、その必要はまったくないと考えています。理由はシンプルで、過去問を解くと「何が足りないか」が分かるからです。

  1. まず過去問を1回解く → 問題の全体像・問われ方・自分に足りない知識が分かる
  2. その上でテキストや問題集で知識を埋める
  3. また過去問を回す

この順番のほうが、学習の目的が明確になります。逆に、知識が完成してから過去問に触れる進め方だと、「何のためにこの知識を覚えているのか」が最後まで分からないまま時間が過ぎてしまいがちです。

1回解いたくらいでは答えは覚えられません。「答えを覚えてしまうから取っておく」という心配は、実務上ほとんど不要です。気にせずどんどん解いて構いません。これは1次でも2次でも共通です。

ただし「時間配分の練習」だけは本番形式で

ひとつだけ例外があります。時間配分の練習は、通しで・本番と同じ条件で解かないと練習になりません。

  • 1次:科目ごとの制限時間の中で、解く順番と見切りのタイミングを決める
  • 2次:80分の中で、与件読解・設問解釈・骨子作成・記述にどう配分するか

これは知識とは別の技術なので、直前期に必ず本番形式で(縦解きで)通しの演習を確保してください。とはいえ、これも「そのために過去問を温存する」理由にはなりません。1回解いた年度をもう一度時間を測って解けば十分です。

周回するときに何を記録するか

過去問を繰り返し解くときに効果を左右するのは、周回すること自体よりも、周回のたびに何を記録して次に活かすかです。

実際にやっていたのは、解き終えるたびに合格答案と比較して見つかったずれを、「知識不足によるずれ」か「設問解釈のずれ」かに分類してメモしておくことでした。2周目・3周目に前回のメモを見返してから解き始めると、同じ種類のずれを繰り返していないかを確認でき、繰り返していればそのずれの原因がまだ解消されていないという明確なサインになります。

ただ同じ問題を何度も解くだけでは、周回数を重ねても得点にはつながりにくいものです。この記録と振り返りがあって初めて、周回数が実力に変換されます。

解答用紙はコピーして繰り返し使う

過去問題集に付属する解答用紙は原則1回分しかないため、同じ年度を複数回解く場合はあらかじめコピーを取るか、市販・公開されている解答用紙をダウンロードして使います。

書き込んだ答案を年度ごと・周回ごとにファイリングしておくと、後で自分の答案の変化を見返せます。3年目にこの記録を見返したことで、事例IIIの設問解釈のずれが特定のパターンの設問で繰り返し起きていることに気づけました。

1次と2次で「最適解」が違う

1次の過去問はマークシート方式で正解が一意に決まるため、年度を広げて数をこなすほど知識の抜けが見つかりやすく、周回数より年度数を優先する考え方がそのまま機能します。

一方で2次は記述式で部分点方式のため、年度を広げるだけでは自分の答案の癖には気づけません。ある段階からは周回数を優先する方針に切り替える必要があります。1次と2次で過去問への向き合い方の最適解が違うという点は、7科目のスピードテキスト・スピード問題集を使った1次対策と、ふぞろいと過去問を読み比べた2次対策の両方を経て、はっきり意識するようになりました。

よくある質問

Q. 1次の過去問は何周すればいいですか?

A. 全体を3周程度が目安です。ただし2周目以降は全問を均等に回すのではなく、間違えた問題・迷った問題に絞るほうが効率的です。正解した問題を何度も解いても、得点は伸びにくいためです。

Q. 2次で10年分×5周は多すぎませんか?

A. 過去問中心の独学を選んだ場合の目安です。予備校・通信講座のオリジナル演習+添削を受けている方は、その演習が過去問の役割の一部を担うので、過去問は5年分程度で構いません。演習の総量で考えてください。

Q. 過去問は市販の問題集と公式サイト、どちらを使うべきですか?

A. 問題・解答は日本中小企業診断士協会連合会の公式サイトで公開されています(無料)。ただし1次は解説がないため、解説つきの市販問題集を軸にするのが現実的です。2次は模範解答が存在しないため、公式の問題文+『ふぞろい』等の分析本という組み合わせが定番です。

Q. 5年分より前の過去問を解くのは無駄ですか?

A. 無駄ではありませんが、優先順位は低いと考えています。特に法改正のある経営法務、毎年内容が変わる中小企業経営・政策は学習効果が下がります。時間に余裕がある場合の上乗せと考えてください。

まとめ

  • 1次は5年分。2次は過去問中心の独学なら10年分×5周、講座併用なら5年分
  • 講座を使うならまずはカリキュラムと添削演習を最優先。過去問はその上に乗せる
  • 事例IVは横解き、仕上げは縦解き
  • 古すぎる過去問は法改正・トレンドのズレに注意
  • 再現答案と得点開示をセットで見て、得点の相場観をつかむ
  • 過去問は取っておかない。早く解いて、足りない知識を後から埋める

3回受験した立場からの結論は、「過去問には、なるべく早く着手していい」の一点です。

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