※当サイトにはプロモーション(PR)が含まれる場合があります。
診断士のキャリア 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

企業内診断士とは|37.4%の実像と、58.8%が大企業勤務という構造

企業内診断士とは|37.4%の実像と、58.8%が大企業勤務という構造

結論:企業内診断士は37.4%。その58.8%は大企業勤務です

企業内診断士の勤務先企業規模(協会連合会アンケート調査)
会社勤務者617名の勤務先規模。大企業363名・58.8%で、中小企業32.4%・小規模企業6.3%を大きく上回る
出典: 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」(令和8年5月公表・回答1,847名)

中小企業診断士のうち、独立せず会社に勤めている人を「企業内診断士」と呼びます。協会連合会のアンケート調査(令和8年5月公表・回答1,847名)では37.4%がこれに当たります。

そして、この層についての最も重要な数字がこれです。

企業内診断士の勤務先規模 回答数 構成比
大企業 363名 58.8%
中小企業 200名 32.4%
小規模企業 39名 6.3%
その他・無回答 15名 2.4%

企業内診断士の58.8%が大企業勤務です。中小企業を支援するための国家資格を、大企業の社員が過半を占めて保有している。この構造が、企業内診断士のあらゆる悩みの出発点になっています。

私は独立診断士として登録していますが、合格までの3年間は会社勤めをしながら学習しました。この記事では、公表データから企業内診断士という立場のメリットと制約を整理します。

職業区分の内訳:どんな会社にいるのか

調査では職業を13区分で聞いています。企業内診断士に分類されるのは次の区分です。

区分 回答数 構成比
民間企業(金融機関を除く) 504名 27.3%
公的機関・団体等 80名 4.3%
金融機関(地銀・信用金庫等) 44名 2.4%
公務員 39名 2.1%
金融機関(都市銀行) 12名 0.6%
調査・研究機関 8名 0.4%
金融機関(政府系) 5名 0.3%
資格は持っているが活動も勤務もしていない 31名 1.7%

圧倒的多数が民間企業(金融機関を除く)の27.3%です。金融機関の合計は3.3%、61名にすぎません。「診断士は金融機関に多い」というイメージがありますが、実数では一般事業会社が主流です。

企業内診断士の最大のメリット:副業容認79.1%という変化

この調査で最も動いた数字がこれです。勤務先で副業が認められているかを聞いた結果です。

副業の可否 回答数 構成比
全面的に認められている 118名 19.1%
一部認められている(許可制等) 370名 60.0%
認められていない 113名 18.3%
その他・無回答 16名 2.6%

全面容認と一部容認の合計が79.1%。前回調査(2021年報告)では47.0%でしたから、5年ほどで32ポイントの上昇です。これは企業内診断士の環境が構造的に変わったことを意味します。

かつて企業内診断士は「資格は持っているが使えない」という立場でした。いまは約8割が、制度上は診断士業務を副業として行える環境にいます副業でいくら稼げるかで単価データから試算していますが、この79.1%という前提条件の変化は大きい。

ただし注意点があります。60.0%は「一部認められている(許可制等)」です。全面容認は19.1%にとどまります。実際に動く前に、就業規則と申請手続きの確認が必須です。

企業内診断士の制約:更新要件で詰まる

一方、企業内であることの制約もデータに出ています。資格更新には5年間で実務30日という要件があります。その取得方法の調査結果です。

実務ポイントの取得方法(複数回答) 回答数 構成比
本業(コンサルティング業務等)で取得可能 1,152名 62.4%
休日等を活用してコンサルティング業務へ参加 335名 18.1%
県協会が主催する診断実務従事へ参加 194名 10.5%
県協会の研究会が主催するグループ診断へ参加 164名 8.9%
所属企業内での診断活動への従事 156名 8.4%
取引先中小企業へのコンサルティング活動 146名 7.9%

本業で取得できる62.4%は、独立診断士と支援機関勤務者が中心でしょう。一般事業会社の企業内診断士にとって、更新の30日は休日を使って積むものになります。

実際、「阻害要因がある」と答えた人は22.0%(406名)おり、その理由の1位は「実務従事の機会そのものがない」53.7%、3位が「勤務先の仕事内容が実務従事と関連しない」36.5%です。大企業で中小企業支援と無縁の部署にいる人ほど、この問題に当たります

企業内診断士が資格を活かす4つの現実的な道

データを踏まえると、選択肢は概ね次に整理できます。

内容 向く人
社内で使う 経営企画・事業開発・経営管理への異動を狙う。所属企業内の診断活動は更新要件にも算入できる(8.4%が該当) 異動の可能性がある人
副業として受ける 79.1%が制度上は可能。休日にコンサル業務へ参加する人が18.1%いる 就業規則をクリアできる人
県協会の活動で積む 研究会・グループ診断・窓口相談・実務従事事業。更新要件を制度的に解決できる 機会がない人全般
独立の準備期間と位置づける 独立していない人の約6割に独立意向がある。在職中に実績と人脈を作る 将来の独立を考える人

特に3つ目は強調しておきます。更新の最大の障害は「機会がない」53.7%であり、これは県協会に入会することで制度的に解消できます。会費は必要ですが、企業内診断士にとっては「更新できる状態を買う」費用と考えるのが実際的です。

企業内診断士は「独立できなかった人」ではありません

独立していない理由の調査結果を見ると、消極的な理由ばかりではないことがわかります。対象は独立していない728名で、複数回答です。ただし無回答が437名(60.0%)と多く、以下の比率は728名を分母とした値である点に注意してください。

独立しない理由 回答数 構成比
現在の仕事の内容や職場環境に満足しているから 151名 20.7%
現在に比べ、収入が低下すると見込まれるから 137名 18.8%
収入が安定しないから 135名 18.5%
受注機会の確保が難しいと思うから 130名 17.9%
自分の能力不足を感じているから 124名 17.0%
資格の取得が目的であったから 16名 2.2%
診断士という職業に魅力を感じていないから 9名 1.2%

1位は「今の仕事に満足している」20.7%です。そして「診断士という職業に魅力を感じない」はわずか1.2%、9名企業内診断士の大半は、この仕事を否定して残っているわけではありません

2位以下に並ぶ収入低下18.8%・収入不安定18.5%・受注機会17.9%は、独立の現実的なリスク評価です。独立のリアルで書いたとおり、年間売上500万円以下が31.5%という分布を見れば、大企業勤務からの独立が慎重になるのは合理的です。

大企業勤務という立場の、意外な強み

最後に、あまり語られない点を書きます。企業内診断士の58.8%が大企業に勤めているという事実は、中小企業支援の現場では希少価値になり得ます

中小企業が抱える課題の多くは、大企業では標準装備になっている仕組みの欠落です。原価管理、与信管理、人事評価制度、販売チャネルの複線化、情報システムの整備。大企業で当たり前にやっていることの実務知識は、そのまま支援の中身になります

これは私自身が実務従事で痛感した点でもあります。実務従事で中小企業の現場に入ったとき、役に立ったのは試験知識よりも、前職で日常的に扱っていた業務プロセスの感覚でした。企業内診断士は「支援できない立場」ではなく「支援の材料を毎日仕入れている立場」です

まとめ

論点 データ
比率 企業内診断士は37.4%(プロコン診断士は58.9%)
勤務先 大企業58.8%、中小企業32.4%、小規模企業6.3%
副業 79.1%が容認。ただし60.0%は許可制等の一部容認
更新の壁 22.0%が阻害要因あり。1位は「機会がない」53.7%
残る理由 1位は「今の仕事に満足」20.7%。職業への否定は1.2%のみ
対策 県協会の実務従事事業で機会を制度的に確保する

企業内診断士でいることは、この資格の正当な使い方のひとつです。ただし放置すると5年後の更新で詰まります。登録した日に、実務30日をどこで積むかだけは決めておいてください。

関連記事: 中小企業診断士とは資格更新副業でいくら稼げるか独立のリアル年収意味ないと言われる理由実務従事診断士の仕事

出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」(令和8年5月公表・回答1,847名。会社勤務者に関する設問の回答者数計は617名、独立理由の設問は728名)。