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2次試験対策 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

中小企業診断士 事例3の解き方|68→44→68の乱高下から学んだ設問解釈の型

中小企業診断士 事例3の解き方|68→44→68の乱高下から学んだ設問解釈の型

結論:事例IIIで点が動く最大の要因は「設問解釈のずれ」

中小企業診断士の事例IIIで点が安定しない人は、生産管理の知識を足しても解決しません。必要なのは、設問が何を答えさせようとしているかを、与件を読む前に確定させる手順です。私の事例IIIの得点は68点→44点→68点と乱高下しました。しかも最低点の44点は、3年のうちで2次専念で演習量が最も多かった年です。

この記事では、事例IIIの論点を生産計画・生産統制・在庫・設備/レイアウト・品質・人という6つの箱に切り分ける方法と、「原因→施策→効果」を字数で固定する因果の書き方、そして80分の実配分を示します。「意識する」で終わる話は書きません。すべて時間と手順の数字に落とします。

先に結論を言うと、私にとって事例IIIは「足切りを避ける科目」ではなく、合格年の得点を支えた柱でした。合格年244点の内訳は事例I 66点・事例II 51点・事例III 68点・事例IV 59点。60点を超えた2事例(事例I・事例III)が、50点台の2事例を支える構造です。事例IIIを60点台に戻せるかどうかが、私の場合は合否の分かれ目でした。

受験年 事例III その年の学習状況 総点
1年目 68点 独学+スタディングで1次合格、2次はほぼ初見で受験 213点 不合格
2年目 44点 2次専念で通学。公開模試A判定(1,708人中52位) 226点 不合格
3年目 68点 1次から再受験。事例IIIは設問解釈の手順を固定 244点 合格

上記は得点開示請求で取得した実データです。

足切り回避は必要条件にすぎない——2年目226点の意味

よく「事例IIIは40点未満を作らないための科目だ」と言われます。私の実データはその考え方に当てはまりませんでした。3年分の全事例の得点を並べます。

受験年 事例I 事例II 事例III 事例IV 総点 結果
1年目 48 61 68 36 213点 不合格
2年目 58 55 44 69 226点 不合格
3年目 66 51 68 59 244点 合格

注目してほしいのは2年目です。58/55/44/69で、40点未満は1つもありません。それでも226点で不合格でした。足切りを作らないことは合格の必要条件であって、十分条件ではありません。240点に届かせるには、どこかで60点台を積む必要があります。

2年目から3年目への差は+18点です。内訳は事例III +24点(44→68)、事例I +8点(58→66)、事例II −4点(55→51)、事例IV −10点(69→59)。合否を動かしたのは事例IIIの回復が中心で、事例Iの積み上げがそれを補強し、下がった2事例の分を吸収したという構造です。

もう一つ、私自身が受験中に誤解していたことを書いておきます。事例IVは36→69→59と動きました。69点を取った年は不合格、合格年は59点です。一度上げた事例IVが翌年も同じ点で出るとは限りません。逆に事例Iは48→58→66と3年かけて唯一きれいに右肩上がりでした。事例IIは61→55→51と3年連続で下がり、合格年でさえ51点です。全事例を伸ばして受かったわけではありません

模試A判定でも44点は出る——2年目に起きていたこと

運営者の2次試験得点開示(2年目・合計226点)
2年目の得点開示。事例IIIが44点。前年68点だった事例が、2次に専念した年に落ちた
出典: 運営者提供(氏名・受験番号等はマスキング済み)

2年目は1次を免除され、1年間まるごと2次に使いました。2次実力チェック模試はA判定で1,043人中161位(上位約15%)、2次公開模試もA判定で1,708人中52位(上位約3%)2つの模試でA判定を持った状態で本試験に臨み、事例IIIは44点でした。総点226点で不合格です。

事例IIIで起こりやすいのは、書いた材料自体は大きく外していないのに点が伸びないパターンです。与件から拾った弱みも、使った生産管理の用語も、方向は合っている。外していたのは設問が要求している出力の種類と範囲でした。同じ実力で24点動く。これが事例IIIの怖さです。

ずれ1:「課題」を聞かれて「問題点」を書いた

問題点は現状の困りごと課題は達成すべき目標です。「納期遅延が発生している」は問題点、「生産リードタイムを短縮すること」が課題。ここを取り違えると、内容が正しくても設問要求に答えていない答案になります。演習では区別できていても、本番の時間圧の中では取り違えが起きます。だからこそ、設問文の要求語を丸で囲むという物理的な作業に落としておく必要があります。

ずれ2:制約条件を読み飛ばして一般論を書いた

事例IIIの設問には「〜の観点から」「〜を踏まえて」「生産面で」といった限定が高頻度で付きます。この限定は解答すべき範囲そのものです。生産面と限定されているのに営業体制の話を混ぜると、その分の字数は加点対象から外れると考えるべきです。知識が増えるほど、書きたいことが増えて限定を踏み外します

ずれ3:同じ論点を複数の設問に重複させた

事例IIIの設問は、担当領域が重ならないように配置されていることが多いです。第2問で生産計画、第3問で生産統制、というように棲み分けがある。ところが与件で目立つ弱みを見つけると、それを複数の設問に書きたくなります。棲み分けがある以上、片方は要求外です。結果として、本来その設問で書くべき論点が空欄同然になります。

不都合な事実:ふぞろい採点で60点台でも本試験で40点台は出る

キーワード採点は、事例IIIでは甘く出やすいと感じています。生産管理の施策は語彙が限られているため、設問要求を外していてもキーワードだけは当たるからです。「標準化」「多能工化」「DB化」は、どの設問に書いても部分点が付いたように見えてしまう。

自己採点で高い点が出続けるのは、採点者が自分自身だからです。自己採点では「設問要求に答えているか」を無意識に甘く見ます。ここを潰すには、ふぞろいの使い方を変える必要があります。キーワード加点の前に、設問要求との一致だけを○×で判定する工程を必ず挟んでください。詳しくはふぞろいの選び方も参考にしてください。

自己採点の工程 やること やらないこと
工程1(先にやる) 設問の要求語・制約に答えているかを設問ごとに○× キーワードを数えない
工程2 因果(原因→施策→効果)が文としてつながっているか確認 語尾の調整をしない
工程3 ふぞろいのキーワードで加点集計 工程1が×の設問は加点しない

模範解答も配点も公表されないため、自己採点の点数そのものに意味はありません。工程1の○×が何個あるかだけを演習ごとに記録してください。

事例IIIの論点は6つの箱に必ず入る

事例IIIの与件に出てくる弱みは、ほぼ例外なく次の6つに分類できます。この6分類を暗記し、与件の各段落にタグを振るのが解法の土台です。知識を増やすのではなく、持っている知識を置く棚を6つに固定すると考えてください。

与件に出るサイン 打ち手の方向 混同しやすい隣
①生産計画 月次でまとめて立案/担当者の経験と勘/計画対象が最終工程のみ/内示と確定のズレ 計画サイクルの短縮、計画対象工程の拡大、需要情報の共有、標準時間の整備 ②生産統制
②生産統制 納期遅延/工程間に仕掛が滞留/進捗が把握できない/特定工程で残業 進捗・現品・余力管理の仕組み化、実績の即時把握、負荷平準化 ①生産計画
③在庫 欠品と過剰在庫が同時発生/発注は担当者判断/棚卸が年1回 発注点・発注量の基準化、部材共通化、在庫データの一元管理 ①生産計画
④設備・レイアウト 運搬距離が長い/段取時間が長い/特定設備がボトルネック/機能別配置 SLPによる再配置、内段取の外段取化、設備能力の増強・更新 ②生産統制
⑤品質 不良・手直しの発生/検査は最終工程のみ/作業が人によって違う 作業標準の整備、工程内検査、不良原因の記録と分析、5S ⑥人・技能
⑥人・技能 ベテラン依存/OJTのみ/多能工化されていない/技能承継が進まない 標準作業のマニュアル化、教育計画の策定、多能工化、ノウハウのDB化 ⑤品質

もっとも取り違えやすいのが①と②です。生産計画は「何をいつ作ると決める」話、生産統制は「決めたとおりに進んでいるか管理する」話。計画を聞かれて統制を答えるのは、点が伸びない年に起きやすい典型的なずれです。設問に「生産計画上の課題」とあれば、答えは計画サイクル・計画対象・計画精度の3方向に絞られます。

①生産計画と②生産統制を10秒で判定する3つの質問

  1. 「いつ・何を・どれだけ作るか」を決める話か→ ①生産計画
  2. 「決めたとおりに進んでいるか」を見る話か→ ②生産統制
  3. 「決め方そのものが人依存か」→ ①(標準時間・基準情報の整備が打ち手)

与件に「計画は月次でまとめて立てている」とあれば①、「進捗が担当者に聞かないと分からない」とあれば②です。両方書いてある年もありますが、設問側で棲み分けられているので、設問の要求語と制約に従って振り分けます。迷ったら設問文の名詞を優先してください。

設問解釈:与件を読む前の8分でやること

事例IIIは設問文だけを先に読み、与件を1文字も読まない状態で解答の枠を作ります。与件を読んでから設問を読むと、印象に残った弱みに引きずられて設問要求を捻じ曲げます。順序を逆にした瞬間に、目立つ弱み1つが全設問に流れ込みます

設問1問あたり90秒でチェックする5項目

  1. 領域:6つの箱のどれか。設問の余白に「①」「②」と番号を書く
  2. 要求語:問題点/課題/対応策/助言/理由/留意点のどれか。丸で囲む
  3. 制約:「生産面で」「〜の観点から」「〜を踏まえ」に下線を引く
  4. 時制:現状の課題か、今後の構想(新規受注・新工場・DX等)に対する助言か
  5. 字数:字数から施策の本数を先に決める(後述の表)

1問90秒で計算すると、4問なら6分、5問なら7分30秒。後述するタイムテーブルの設問解釈枠は8分なので、設問数が4問でも5問でも枠内に収まります。ここで各設問の担当領域が重複していないかを必ず確認します。重複していると感じたら、どちらかの読み違いです。

要求語 解答の骨格 語尾の型 やりがちな誤答
問題点は何か 現状で起きている事実+その影響 〜が発生している。 改善策を書いてしまう
課題は何か 達成すべき状態を目標形で 〜すること。/〜の短縮。 問題点をそのまま書く
対応策・改善策 原因+具体策(動詞)+効果 〜し、〜することで〜する。 効果を書かず施策の羅列で終わる
助言せよ 対応策+効果+経営目標への貢献 〜を助言する。 一般論の施策になる
理由・要因 因果の原因側のみを厚く 〜だから。/〜のため。 施策まで書いて字数を失う
留意点 施策実行の前提条件・順序 〜に留意する。 施策そのものを書く

与件の読み方:段落ごとに箱のタグを振る

与件は1回目は12分でタグ振りだけを行います。線を引きすぎると後で読み返す量が増えるので、段落の左余白に①〜⑥の番号を書くのが主作業です。1段落に複数の箱が混在するときは、番号を2つ並べて書きます。

同時に、3種類だけ記号を打ちます。強みには「+」、弱みには「−」、社長の意向・今後の方針には「☆」。色ペンを4色も5色も使うと持ち替えで時間を失います。シャープペン1本と赤1本で足ります

読み終えたら、設問番号と与件段落番号の対応表を問題用紙の余白に作ります。「第2問=③段落・⑦段落」のように書くだけで構いません。この対応表を作る10分が、事例IIIでいちばん点に直結すると考えています。対応する段落が見つからない設問があれば、その設問の解釈が間違っています

因果の書き方:「原因→施策→効果」を字数で固定する

事例IIIの答案は、因果がつながっているかどうかで読みやすさが決まります。「多能工化を進める」だけでは、なぜ必要なのかが伝わりません。なぜ必要で、何をして、どうなるのかを1文でつなぐ。そのために、字数ごとに配分をあらかじめ決めておきます。

指定字数 原因 施策 効果 合計 施策の本数 目安時間
80字 20字 45字 15字 80字 1本 4分
100字 25字 55字 20字 100字 2本 5分
120字 30字 65字 25字 120字 2本 6分
140字 30字 80字 30字 140字 3本 7分
160字 35字 95字 30字 160字 3〜4本 8分

目安時間の合計が後述の記述枠35分を超える場合(例:160字が5問)は、35分÷設問数を1問の上限に切り替えてください。5問なら1問7分、4問なら1問8分45秒です。全問を同じ密度で書くより、上限を先に決めて全マスを埋めるほうが安全です。

雛形は「課題は〜。原因は〜であるため、①〜、②〜を行い、〜を実現する」で固定します。①②の番号を必ず振ると、施策の本数が自分でも読み手でも数えられます。字数が余ったら効果を厚くし、足りなければ原因を削ります。削る優先順位は原因→効果→施策。施策は絶対に削りません。

効果の書き方には序列があります。工程レベルの効果(リードタイム短縮、不良率低減)→経営レベルの効果(納期遵守率向上、収益性改善)の順に並べる。工程レベルだけで終わると助言型の設問で薄くなり、経営レベルだけだと因果が飛びます。両方を短く並べるのが最も安全です。

与件にない施策を書きたくなったときの判断基準

知識が増えると、与件に根拠がない施策を書きたくなります。判定は簡単で、その施策を必要とする「困りごと」が与件に1文でも書かれているかだけを見ます。書かれていなければ落とす。模範解答も配点も公表されないので断定はできませんが、与件に根拠のない施策は加点されにくいと考えて運用するのが安全です。知識が厚い年ほど、この誘惑は強くなります

80分のタイムテーブル

事例IIIは設問数が多く字数合計も大きいため、書き始めが遅れると必ず崩れます。私が3年目に固定した配分は次のとおりです。この表を印刷して過去問演習の机に置くところから始めてください。

経過時間 所要 作業 この時点での持ち物
0〜2分 2分 受験番号記入、設問数と字数合計の確認 総字数と1問あたりの時間
2〜10分 8分 設問解釈(5項目チェック、与件は読まない) 各設問の箱番号・要求語・制約
10〜22分 12分 与件通読、段落に①〜⑥のタグと+−☆の記号 タグ付き与件
22〜32分 10分 設問と段落の対応表づくり、重複チェック 設問ごとの根拠段落
32〜40分 8分 骨子作成(原因・施策・効果を単語で書き出す) 全設問の骨子
40〜75分 35分 解答用紙に記述(1問の上限=35分÷設問数) 全マス埋まった答案
75〜80分 5分 見直し(主語の欠落、因果の断絶、誤字) 提出物

合計 2+8+12+10+8+35+5=80分。設問数が変動しても枠は動かさず、枠の中を設問数で割る運用にしてください。骨子8分は、4問なら1問2分、5問なら1問96秒です。

32〜40分の骨子づくりでは、文章を書かず単語だけを並べます。「第3問:原因=進捗把握が事後/施策=日次実績入力・余力管理/効果=納期遵守率向上」のような形です。全設問の骨子が出そろってから書き始めると、施策の重複に骨子段階で気づけます。ここで重複を消すのが最大の防御です。

40分で1文字も書いていなくても正常です。むしろ22分の時点で書き始めている人ほど崩れます。ただし75分の時点で空欄が残っているのは避けたいので、65分を過ぎたら残り設問は骨子をそのまま文にして埋めてください。白紙は0点にしかなりませんが、埋めれば加点の余地は残ります

第1問と最終問題は別ルールで処理する

第1問はC社の強み・弱み(あるいは生産上の課題)を短くまとめる問題が定番です。ここは与件の言葉をほぼそのまま使い、加工しないのが安全です。時間は5分以内。ここで悩むのは時間の使い方として最悪です。

一方、最終問題は今後の経営戦略・新事業への対応を助言する問題で、事例IIIの中で唯一「生産の外」に踏み出せます。ここでは社長の意向(☆を打った箇所)を必ず1つ以上引用し、それを実現するために生産面をどう変えるかを書く。強みの活用と弱みの克服を1文ずつ入れると型として安定します。

注意点として、最終問題で書いた施策は中問と重複させないこと。中問が個別工程の改善なら、最終問題は全社的な体制・情報基盤・人材の話に寄せます。これが箱の切り分けを覚えておく実利です。

事例IIIでやってはいけない5つ

  • 与件を読んでから設問を読む。印象の強い弱みに全設問が引っ張られます
  • 1つの施策を複数の設問に書く。棲み分けがある以上、片方は要求外になります
  • 与件にない一般論の施策を書く。知識が増えた年ほど起きます
  • 効果を書かずに施策を並べる。因果がつながらない答案になります
  • 制約を無視する。「生産面で」とあれば、営業・財務に割いた字数は加点対象から外れると考えるべきです

この5つは同時に起こりやすく、1つだけを直しても得点が戻らないことがあります。配点は公表されないので何点分かは言えませんし、44点から68点への24点の回復がすべてこの解消によるものだと証明はできません。ただ、いずれも知識ではなく手順で潰せるミスだという点は共通しています。潰す方法は、順序を固定し、確認工程を1つ挟むことだけです。

直前2か月の事例III練習メニュー

事例IIIは解く量より、設問解釈の反復回数で伸びると考えています。3年目に私が重心を置いたのも、80分フル演習の本数ではなく設問解釈の回転数でした。設問解釈だけなら1事例8分で終わるので、毎日1事例分を回せます。組み方の一例が次の表です。

時期 週あたりの量 重点 チェック指標
8月中 80分演習2事例+設問解釈のみ7事例 6つの箱の暗記と、要求語の判別 箱の番号を迷わず振れるか
9月 80分演習2事例+設問解釈のみ7事例 設問と段落の対応表づくり 根拠段落が0個の設問がないか
10月前半 80分演習2事例+写経1事例 字数配分どおりに書き切る 75分で全マス埋まるか
10月直前週 80分演習1事例+過去骨子の読み返し やってはいけない5つの確認 重複・一般論・制約無視がゼロか

設問解釈のみ7事例=1日1事例です。80分演習は週2事例に絞り、空いた時間を解釈の反復に回す配分になっています。

過去問は直近5年を3周できれば、手順の定着には足ります。年数を増やすより、同じ事例で対応表を作り直す回数を増やしてください。何年分やるかの判断は過去問は何年分やるべきかにまとめています。演習全体の設計は2次試験対策の全体像もあわせて読んでください。

よくある質問

生産管理の知識はどこまで必要ですか

1次の運営管理のテキストレベルで足ります。生産形態(個別・ロット・連続)、生産方式(受注・見込)、5S、SLP、内段取と外段取、ECRS、DRINK。この程度を説明できる状態にしておけば、あとは設問解釈の精度勝負です。全知識・全ノウハウは用語の確認用として使い、通読はしません。

事例IVと事例III、どちらを優先すべきですか

事例IVが50点未満なら事例IVが先です。ただし過度な期待はしないでください。私の事例IVは36→69→59と動きました。2年目に69点まで上げましたが、その年の総点は226点で不合格。合格年は59点です。投下時間で上がりはしますが、上げた年に受かるとは限らず、翌年も同じ点が出るとも限りません。まず40点未満を出さない水準を確保し、その後は維持のための計算練習に切り替えるのが現実的です。事例IVの進め方は事例IV対策の全体像を参照してください。

模試の判定はどこまで信じられますか

総合判定は現在地の目安になりますが、事例別の安定性までは読めません。私は2次実力チェック模試がA判定で1,043人中161位(上位約15%)、2次公開模試もA判定で1,708人中52位(上位約3%)。それでも本試験は226点で不合格、事例IIIは44点でした。模試は時間配分の練習台として使い、判定の順位そのものは一喜一憂しない材料として扱うのが妥当です。TAC模試の使い方に詳しく書きました。

独学でも事例IIIは対応できますか

対応できます。事例IIIは論点の切り分けが型になりやすく、独学と相性が良い事例です。ただし設問要求を外したことを自分では検知しにくいので、前述の自己採点3工程を必ず入れてください。判断材料は2次は独学で受かるかにまとめています。

令和8年度の試験制度はどうなりますか

2次筆記は令和8年10月25日、事例I〜IVの4事例で各80分・100点満点、合計400点です。合格基準は総点240点以上かつ1事例も40点未満がないこと。そして令和8年度から2次口述試験は廃止され、筆記合格がそのまま最終合格になります(出典:日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度からの中小企業診断士試験における改正点について」 https://www.jf-cmca.jp/contents/010_c_/010_c_r08_shiken/R08_jyukentesuryokaitei_koujyutushikenhaishi.html。当サイトで公式ページを直接確認しています)。同時に受験手数料も改定され、1次17,200円・2次15,100円です。日程の詳細は試験日程のまとめをご覧ください。

2次に落ちると1次からやり直しですか

1次合格の効力は2年間です。私は2年目の2次で落ちた時点で効力が切れたため、3年目は1次から受け直しました。1次を並行する年は、2次に使える時間がそのまま削られます。だからこそ事例IIIのように手順で固定できる事例は、短時間で仕上げられる形にしておく価値があります。私が3年目に事例IIIへ配分した時間は、2次専念だった2年目より明らかに少ないのに、点は44点から68点に戻りました。

まとめ:同じ知識量でも24点動いた

私の事例IIIは68→44→68。演習量が最も多かった年に最低点を取り、手順を固定した年に元に戻りました。事例IIIで安定しない原因の大半は、知識ではなく設問解釈と切り分けにあります

正直に書いておくと、私は事例IIは61→55→51と3年連続で下がり続け、合格した年でさえ51点でした。事例IVも合格年は59点です。全事例を伸ばして受かったわけではありません。合格年244点を作ったのは、68点の事例IIIと66点の事例Iという60点超の2枚で、51点と59点を支えた構造です。

そして忘れてはいけないのが、40点未満がゼロだった2年目でも226点で不合格だったという事実です。足切り回避は入口にすぎません。どこかで60点台を作れる事例を持つことが240点への現実的な道でした。事例IIIは、手順を固定すればその「崩れない1枚」になり得る事例です。明日の演習から、与件を読む前の8分を確保するところだけ変えてみてください。

関連記事: 2次試験対策の全体像事例IV対策の全体像ふぞろいの使い方過去問は何年分やるべきか診断士講座の比較

出典: 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士試験」試験案内/日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度からの中小企業診断士試験における改正点について」(https://www.jf-cmca.jp/contents/010_c_/010_c_r08_shiken/R08_jyukentesuryokaitei_koujyutushikenhaishi.html)。得点および模試順位は運営者本人の得点開示請求・成績表による実データ。