結論:2年計画は「妥協案」ではありません。データ上、主流になりつつある受け方です
2年計画というと、1年で受からなかった人の次善策のように語られがちです。しかし公表統計を見ると、複数年で積み上げる受け方は明確に増えています。
| 年度 | 科目合格者数 | 1次合格者数 | 科目合格者÷1次合格者 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 9,278人 | 5,839人 | 1.59倍 |
| 令和4年度 | 9,485人 | 5,019人 | 1.89倍 |
| 令和5年度 | 10,214人 | 5,560人 | 1.84倍 |
| 令和6年度 | 11,210人 | 5,007人 | 2.24倍 |
| 令和7年度 | 13,146人 | 4,344人 | 3.03倍 |
科目合格者は5年で1.42倍に増え、令和7年度は1次合格者の3倍を超えました。7科目を1年で仕上げるのではなく、2〜3年かけて積み上げる人が増えているということです。
私は1次を2回、2次を3回受けて合格しました。この記事では、科目合格制度を最初から前提にした2年計画の組み方を、制度のルールと自分の実績の両方から示します。
制度のルール:3つだけ押さえる

出典: 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 科目合格の条件 | 総合不合格でも、その科目で満点の60%以上を取れば科目合格 |
| 有効期間 | 翌年度・翌々年度の2年間。令和8年度に使えるのは令和7年度・令和6年度の科目合格のみ |
| 申請が必要 | 自動では免除されない。Web申込時に科目合格年度の受験番号を入力する |
もうひとつ、見落とされがちな点があります。1次に合格すると、それまでの科目合格による免除申請資格は消滅します。2次に2年連続で落ちて1次から受け直す場合、以前の科目合格は使えません。私が3年目に7科目すべてを受け直したのはこの理由です。
2年計画の基本設計:4科目+3科目
7科目をどう割るか。最も自然な分割は「積み上げ型4科目+暗記型3科目」です。
| 年度 | 受ける科目 | 目安時間 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 財務・会計/企業経営理論/運営管理/経済学・経済政策 | 約570時間 | 積み上げに時間がかかる。2次に接続する3科目を含む |
| 2年目 | 経営法務/経営情報システム/中小企業経営・政策 | 約240時間 | 暗記中心。短期集中が最も効く |
この分割を推す理由は3つあります。
第一に、暗記3科目は同時にやるのが最も効率的だからです。私は3年目に、この3科目に診断士ゼミナールを併用して集中的に回しました。模試の結果は経営情報システム72点・経営法務68点・中小企業経営政策63点です。暗記法で書いたとおり、この3科目はスマホの一問一答で伸びる性質を共有しています。
第二に、2年目の負荷が軽くなるからです。1年目に570時間、2年目に240時間。2年目は1次の負担が半分以下になるので、その分を2次対策に回せます。
第三に、2次への助走が長くなるからです。財務・会計、企業経営理論、運営管理は2次の事例I・II・III・IVに接続します。1年目にこの3科目を仕上げておけば、2年目は1年かけて2次を準備できます。
逆の分け方(暗記3科目を1年目)はなぜ不利か
「簡単そうな暗記科目から片づける」という発想は、一見合理的に見えます。しかし2年計画では不利になります。
| 観点 | 積み上げ型が先 | 暗記型が先 |
|---|---|---|
| 2次への助走 | 1年目から2次に接続する知識が入る | 2年目まで2次の土台がない |
| 2年目の負荷 | 暗記240時間だけ。2次に時間を回せる | 積み上げ570時間。2次まで手が回らない |
| 白書の鮮度 | 中小企業経営・政策を最終年に受けられる | 1年目に覚えた白書は2年目には古い |
| 財務の維持 | 1年目に固め、2年目も毎日30分で維持 | 2年目に一から立ち上げる。事例IVが間に合わない |
特に最終行が致命的です。財務・会計は毎日触れないと勘が鈍る科目で、しかも2次の事例IVと同一論点です。2年目に初めて着手すると、1次の財務と2次の事例IVを同じ年に立ち上げることになります。
1年目に「あえて免除しない」判断
2年目の申込時、1年目に合格した科目を免除するかどうかを選べます。ここで機械的に全部免除するのは損になり得ます。
理由は合格基準にあります。1次は総点60%以上かつ40%未満の科目なし。免除すると分母が減るため、残った科目で60%を取らなければなりません。得意科目を免除すると、その科目で稼ぐはずだった貯金が消えます。
私の3年目の模試を例にします。
| 科目 | 得点 | 60点との差 |
|---|---|---|
| 企業経営理論 | 82点 | +22 |
| 経営情報システム | 72点 | +12 |
| 運営管理 | 70点 | +10 |
| 財務・会計 | 68点 | +8 |
| 経営法務 | 68点 | +8 |
| 経済学・経済政策 | 64点 | +4 |
| 中小企業経営・政策 | 63点 | +3 |
| 合計 | 487点 | 合格ライン420点に対し+67 |
余裕67点のうち34点を、上位2科目だけで作っています。仮に企業経営理論を免除していたら、残り6科目で360点が必要になり、余裕は405−360=45点に縮んでいました。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| その科目で70点以上が見込める | 免除しない。貯金が他科目の不作を吸収する |
| 60点前後がやっと | 免除する。浮いた時間を残り科目に回す |
| 合格から時間が経ち知識が抜けた | 免除する。再習得コストが新規科目と変わらない |
詳しくは科目免除にまとめています。
2年計画の月次スケジュール
| 時期 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| 9〜11月 | 財務・会計を立ち上げ+企業経営理論 | 2次の事例を月2本。財務は毎日30分で維持 |
| 12〜2月 | 運営管理・経済学 | 2次の過去問を年度単位で。事例IV強化 |
| 3〜5月 | 4科目の過去問演習 | 暗記3科目を立ち上げ。2次も継続 |
| 6〜7月 | 直前期。模試を1回 | 暗記3科目の詰め込み。模試を1回 |
| 8月1〜2日 | 1次(4科目受験) | 1次(3科目受験) |
| 8〜10月 | —(2次の受験資格なし) | 2次に全振り。ただし助走済み |
この設計の要点は、2年目の9月から2次対策を始めていることです。1次の合格発表(9月1日)を待たず、1年目の試験が終わった直後から2次を触り始めます。
理由は単純で、1次合格発表から2次まで54日しかないからです。1年合格スケジュールでも同じことを書きましたが、2年計画ならこの助走を1年分取れます。これが2年計画の最大の利点です。
3年目に突入した場合の注意点
正直に書きます。2年計画も崩れます。私は3年かかりました。
最も重い分岐は「1次に合格したが、2次に2年連続で落ちた」ケースです。この時点で1次合格の効力が切れ、科目合格による免除資格も消滅しているため、7科目を一から受け直すことになります。
私の3年目がこれでした。2次対策と並行して1次7科目を仕上げる年になります。このとき採った配分は次のとおりです。
| 科目群 | 配分 | 結果(模試) |
|---|---|---|
| 暗記3科目(法務・情報・中小) | 診断士ゼミナールで集中投下 | 68/72/63点 |
| 2次接続3科目(財務・企業経営理論・運営管理) | 2次対策と兼ねる | 68/82/70点 |
| 経済学 | 維持のみ。60点台で割り切る | 64点 |
2次と接続する科目を「2次対策で兼ねる」と割り切ったことで、1次の追加負担を暗記3科目に絞れました。結果は1次通過、2次244点で合格です。
この位置まで来たら、養成課程を検討する分岐点でもあります。登録者の24.4%が使うルートで、2次の不確実性を費用と時間で置き換えられます。
まとめ
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 2年計画の位置づけ | 妥協案ではない。科目合格者は1次合格者の3倍超で主流化 |
| 分割の基本形 | 1年目に積み上げ4科目、2年目に暗記3科目 |
| 逆順が不利な理由 | 2次への助走が取れず、2年目に財務と事例IVを同時に立ち上げることになる |
| 免除の判断 | 70点以上見込める科目は免除しない。貯金が他科目を吸収する |
| 有効期間 | 翌年度・翌々年度の2年間。1次合格で免除資格は消滅 |
| 最大の利点 | 2年目の9月から2次に着手でき、助走を1年分取れる |
2年計画で本当に効くのは、1次の負担を分散することではありません。2次の準備期間を1年確保できることです。1次合格から2次まで54日しかない以上、ここが合否を分けます。
関連記事: 1年合格スケジュール/科目合格制度の使い方/科目免除/科目別の勉強順序/合格率の推移/暗記法・記憶術/養成課程/2次試験の全体像
出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」「令和8年度中小企業診断士第1次試験案内」。学習時間の配分は運営者の実績にもとづく目安です。模試得点・得点開示は運営者本人の実データです。