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2次試験対策 更新日 2026.07.28 文・コンパス管理人

中小企業診断士2次試験の答案の書き方|因果でつなぎ、字数の8割で着地する

中小企業診断士2次試験の答案の書き方|因果でつなぎ、字数の8割で着地する

結論:2次の答案は「うまい文章」ではなく「採点しやすい文章」を書く試験です

2次試験の答案には、模範解答も配点内訳も公表されません。わかっているのは、複数の採点者が、限られた時間で、大量の答案を採点しているという構造だけです。

この前提から導かれる結論はひとつです。読み手が加点要素を拾いやすい形で書く。文章としての完成度ではなく、採点の作業効率に合わせるということです。

私は2次を3回受け、3年目に244点で合格しました。1年目213点、2年目226点です。この間、知識量はほとんど増えていません。変わったのは書き方だけです。この記事では、その書き方を型として整理します。

大原則:因果でつなぐ。単語を並べない

いちばん多い失敗は、キーワードを列挙して終わる答案です。

評価
単語の羅列 「高い技術力、熟練工、地域密着」 該当語はあるが、設問への回答になっていない
因果でつなぐ 「熟練工の技術力を活かし短納期対応を実現することで、地域顧客の信頼を獲得する」 要素が回答として機能する

採点者が探しているのは、おそらく「設問の要求に対応した因果の記述」です。単語だけでは、それが偶然書かれたのか、理解して書かれたのかを区別できません。

私が使っていた基本形は次の1本です。

「〈原因・強み〉により〈行動・施策〉を行い、〈効果〉を実現する」

この形に当てはめるだけで、単語の羅列にはなりません。事例Iの解き方で書いた因果テンプレも、この骨格の応用です。

字数:8〜9割で着地させる

2次の設問には字数制限があります。100字、120字、150字といった指定です。ここでの原則も単純です。

着地点 評価
制限の5割以下 要素不足。加点機会を自分から捨てている
6〜7割 もう1要素入れられる余地がある
8〜9割 推奨。要素数と読みやすさのバランスが取れる
10割ぴったり 理想だが、詰めすぎて因果が崩れやすい
字数オーバー 書き直しで時間を失う。最悪、未完成で終わる

100字なら80〜90字、150字なら120〜135字を目安にします。「余白があるなら、もう1要素入る」と考えてください。逆に、制限いっぱいまで埋めようとして時間切れになるほうが損失は大きいです。

削る順番を決めておく

書いてみたら字数オーバー——これは本番で必ず起きます。そのとき何から削るかを、あらかじめ順番として決めておきます

削る順番 対象 理由
1番目 冗長な表現(「〜することができる」→「〜できる」) 意味を一切失わない
2番目 修飾語(「非常に」「きわめて」) 加点要素になりにくい
3番目 期待効果の説明部分 因果の後段。要素そのものより優先度が低い
4番目 3つ目の要素 ここまで来たら仕方ない。2要素で因果を成立させる

この順番を体で覚えておくと、削る判断に時間を使わなくなります。本番の80分で「どこを削ろうか」と迷う数十秒は、そのまま次の設問の時間を削ります。

与件文の言葉を使う。言い換えない

これは強く言っておきたい点です。与件文に書かれている言葉は、原則そのまま使ってください

自分の言葉に言い換えると、次の2つが起きます。

第一に、加点キーワードから外れる可能性があります。採点基準が非公表である以上、与件文の表現に寄せておくのが最も安全です。「熟練の職人」を「ベテラン社員」と書き換える理由はありません。

第二に、時間を失います。言い換えを考える作業は、それ自体が思考コストです。与件文の読み方で書いたとおり、私は読解時に使えそうな表現へマーカーを引き、答案ではその語をそのまま使っていました。

ただし例外があります。1次知識の用語は、与件文になくても使うべきです。「職務充実」「差別化集中戦略」「サプライチェーン」といった専門用語は、理解を示す記号として機能します。

設問の語尾に、そのまま答える

意外に多い失点が、問われ方と答え方のズレです。

設問の要求 答案の書き出し・締め
「理由を述べよ」 「理由は〜だから。」
「留意点を述べよ」 「留意点は〜すること。」
「助言せよ」 「〜すべきである。」「〜を提案する。」
「特徴を述べよ」 「特徴は〜である。」
「課題を述べよ」 「課題は〜すること。」(問題点ではなく課題)

「理由を述べよ」に対して施策を書いてしまうのは典型的な事故です。内容が正しくても、要求に答えていなければ加点されません。設問解釈で制約・時制・レイヤー・要求の4点をチェックするのは、このズレを防ぐためです。

対策は単純で、設問の語尾を答案の型として先に書いてしまうことです。「理由は」「課題は」と書き出してから中身を埋めれば、構造的にズレません。

「問題点」と「課題」を区別する

細かいようですが、この2語の混同は毎年起きます。

意味 書き方
問題点 現状で起きている不都合 「〜が発生していること」(事実の記述)
課題 解決のために取り組むべきこと 「〜すること」(行動の記述)

「納期遅延が発生している」は問題点、「納期遵守率を向上させること」は課題です。設問が課題を聞いているのに問題点を書くと、要求に答えていない答案になります。

3年間で私が実際に変えたこと

中小企業診断士2次試験の得点開示(2年目・合計226点)
2年目の得点開示。事例III 44点は知識ではなく設問解釈のずれ。書き方を変えた3年目に68点へ戻した
出典: 運営者提供(氏名・受験番号等はマスキング済み)

得点開示を並べると、書き方の変更がどこに効いたかが見えます。

受験年 事例I 事例II 事例III 事例IV 合計
1年目 48 61 68 36 213点
2年目 58 55 44 69 226点
3年目 66 51 68 59 244点

変更1:因果の型を1本に固定した。1年目は設問ごとに書き方を考えていました。3年目は「〈強み〉により〈施策〉を行い、〈効果〉を実現する」という1本に絞りました。事例Iが48→58→66と3年間で唯一きれいに伸びたのは、この型が組織・人事の設問と相性が良かったからだと考えています。

変更2:設問の語尾を先に書くようにした。2年目の事例III 44点は、設問解釈のずれが原因でした。3年目は解答用紙に先に「課題は」「対応策は」と書いてから中身を埋める手順にして、68点に戻っています。

変更3:8割で着地させる基準を決めた。1年目は制限字数いっぱいまで詰めようとして、後半の設問が雑になっていました。80分の時間配分で「40分で書き始める」を締切にしたのと同時に、この基準を入れています。

正直に書くと、事例IIは61→55→51と下げ続けたまま合格しました。文章術で全事例が伸びるわけではありません。事例IIの解き方で書いたとおり、ここは対策そのものを後回しにした結果です。

本番で使えるチェックリスト

確認項目 基準
設問の要求に答えているか 語尾が「理由は〜」「課題は〜」と対応しているか
因果になっているか 単語の羅列で終わっていないか
字数 制限の8〜9割で着地しているか
与件の言葉を使っているか 不要な言い換えをしていないか
1次知識の用語が入っているか 専門用語を1つは入れられているか
主語がぶれていないか 途中で主体が変わっていないか

まとめ

論点 結論
目指す文章 うまい文章ではなく、加点要素を拾いやすい文章
基本の型 〈原因・強み〉により〈施策〉を行い、〈効果〉を実現する
字数 制限の8〜9割。オーバーして書き直すのが最悪
削る順番 冗長表現 → 修飾語 → 期待効果 → 3つ目の要素
語彙 与件文の言葉はそのまま。1次用語は積極的に使う
語尾 設問の要求語をそのまま答案の型にする

文章術だけで合格することはありません。ただし、同じ理解度でも書き方で点は動きます。私の3年間は、知識ではなく書き方と手順を変えた3年でした。

関連記事: 2次試験の全体像設問解釈の手順与件文の読み方80分の時間配分事例Iの解き方事例IIの解き方事例IIIの解き方ふぞろいの使い方

出典:得点開示は運営者本人の実データです。2次試験の採点基準・模範解答は公表されていないため、加点の仕組みに関する記述は公表された合格答案の傾向と運営者の受験経験にもとづく推定を含みます。